千慮の一失(読み)センリョノイッシツ

  • せんりょ
  • の 一失(いっしつ)
  • 千慮
  • 千慮(せんりょ)の一失(いっしつ)

デジタル大辞泉の解説

《「史記」淮陰侯伝から》どんな知者でも、多くの考えのうちには一つぐらいは誤りもあるということ。十分に考えていても、思いがけない失敗があること。
[補説]「浅慮の一失」と書くのは誤り。

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大辞林 第三版の解説

史記 淮陰侯伝
賢い人でも多くの考えの中には一つくらい間違いがあるということ。智者も千慮に一失有り。

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精選版 日本国語大辞典の解説

賢者でも、多くのうちには考え違いや失敗があるということ。十分に配慮しておいても思いがけない失敗を犯すこと。
※源平盛衰記(14C前)一一「智者千慮(リョ)一失(シツ)有り、愚者千慮一徳有りと申事も侍ば」

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ことわざを知る辞典の解説

賢者でも、多くのことを考えるうちには、一つや二つの間違いや失敗がある。

[使用例] 「叡山の上のどこへ出るだろう」「そりゃ知らない。登ってみなければ分からないさ」「ハハハハ君のような計画好きでもそこまでは聞かなかったとみえるね。千慮の一失か。それじゃ、仰せに従って渡るとするかな」[夏目漱石虞美人草|1907]

[解説] 智者が思わぬ失敗を犯した場合の批評ことばで、多くの場合、きびしく非難するものではなく、残念な思いで、好意的に用いられます。「愚者にも一得」と対比して用いられることもよくあります。

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故事成語を知る辞典の解説

いろいろ考えをめぐらしたのに防げなかった、たった一つの間違い。

[使用例] ハハハハ君の様な計画好きでもまでは聞かなかったと見えるね。千慮の一失か。それじゃ、おおせに従って渡るとするかな[夏目漱石*虞美人草|1907]

[使用例] ポーカーや、麻雀や、花札などのゲームで、千慮の一失というべき失策をやらかした時など[五木寛之*風に吹かれて|1968]

[由来] 「史記わいいんこう伝」に出てくる、兵法家、こうくんのセリフから。紀元前二世紀の終わり、漢のりゅうほうこうとが、中国の覇権をかけて争っていたころ。漢の将軍、かんしんは、ある戦いに勝利して、敵の兵法家、広武君を生け捕りにしました。かねがね、広武君の才能を尊敬していた韓信は、そのいましめを解き、教えを請います。このとき、広武君は、「しゃにも千慮に必ず一失有り、しゃにも千慮に必ず一得有り(頭のいい人だってたまには間違った判断をすることがあるし、愚か者だってたまにはいい判断をすることがあるものです)」と述べて、自分の「愚者」なりの考えを、「智者」の韓信に伝えたのでした。

[解説] ❶元の話の文脈からすれば、頭のいい他人の判断ミスに対して使うのが、本来の用法。しかし、現在では、自分の判断ミスを指して使う例もしばしば見かけられます。❷同じ広武君のセリフからは、「愚者にも一得という故事成語も生まれています。また、「敗軍の将は兵を語らずも、このときの広武君のことばから生まれた故事成語。この戦いの際に韓信が採用した戦法から生まれた故事成語が、「背水の陣です。

〔異形〕智者にも千慮の一失

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