慢性円板状エリテマトーデス(読み)まんせいえんばんじょうエリテマトーデス(DLE)(その他表記)Chronic discoid lupus erythematosus (DLE)

六訂版 家庭医学大全科 の解説

慢性円板状エリテマトーデス(DLE)
まんせいえんばんじょうエリテマトーデス(DLE)
Chronic discoid lupus erythematosus (DLE)
(皮膚の病気)

どんな病気か

 ループスエリテマトーデスの病型のうち、発疹が円板の形をとることが多いため、円板状と呼ばれます。慢性円板状エリテマトーデス(DLE)は本来、皮膚限局性の病型のエリテマトーデスを指す名称です。

 DLEは、①露光部(光にさらされる部分)に限られる皮膚限局性のDLE、②病変が広範に分布して全身性の度合いが高い汎発型(はんぱつがた)のDLE、③全身性エリテマトーデス皮疹としてのDLE(SLEの20%に出現)の3タイプに分けられます。また特殊型として皮膚が厚くかさかさになる肥厚性DLEと、寒冷刺激で誘発される凍瘡状狼瘡(とうそうじょうろうそう)が知られています。

原因は何か

 原因は不明ですが、紫外線や寒冷刺激が誘発および増悪因子となります。SLEと異なり、DLEでは血液中の自己抗体は関係せず、皮膚局所の抗原刺激や物理的刺激により特定のTリンパ球が増殖し、サイトカイン(細胞間で情報を伝達する蛋白質)の産生が引き起こされ、病変が形成されると考えられています。

症状の現れ方

 暗赤色鱗屑(りんせつ)(皮膚表面の白いかさかさ)を伴う、境目のはっきりした発疹が頬、鼻、下唇、頭部などの露光部にできます。全体にやや皮面より隆起し、中心は角化や萎縮(いしゅく)を伴います。口唇ではびらん、頭皮では脱毛を伴うことがあります。かいたり刺激を与えたりすると、その部位に発疹が広がる性格(ケブネル現象)があります。

検査と診断

 診断は特徴的な発疹から比較的容易です。さらに皮膚生検による組織所見により診断が確定します。全身症状や血液検査による異常はあまりみられません。

治療の方法

 皮疹部位が限られている場合はステロイド薬の外用が一般的です。皮疹が顔面に目立つ場合や、頭皮の脱毛が顕著な場合はステロイド薬の内服が行われます。スルホン剤(レクチゾール)の内服も有効ですが、副作用に注意して使用する必要があります。

 なお欧米ではクロロキンサリドマイドが使用されますが、日本では許可されていません。

病気に気づいたらどうする

 日光を避けて、皮膚科を受診します。治ったあとでもまれに皮膚がんの発生母地となることがあるので、症状が軽くてもしっかり治療をします。

衛藤 光

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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