才蔵記(読み)さいぞうき

改訂新版 世界大百科事典 「才蔵記」の意味・わかりやすい解説

才蔵記 (さいぞうき)

江戸時代,元禄期(1688-1704)の農書。紀伊国伊都郡学文路(かむろ)村(現,和歌山県橋本市)の大畑才蔵の著。同書の表紙に《地方(じかた)の聞書》と題されているが,《大畑家由緒書》によって《才蔵記》の名がある。一般的農業知識のほか,水利土木的知見に詳しい。また,年貢査定や営農経費見積りなど数量的把握が注目されている。著者は役人としても水利工事に功績をのこした。《日本農書全集》所収
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「才蔵記」の意味・わかりやすい解説

才蔵記
さいぞうき

『地方 (じかた) の聞書』ともいう。元禄年間 (1688~1704) に書かれた地方書 (じかたしょ) 。紀伊国伊都郡学文路 (かむろ) 村の大畑才蔵の著とされる。1冊。農業技術,村政手続,土木技術などを記すほか,2町5反を耕す地主手作りの収支計算例や綿作技術,新田開発に要する用水量算定など,独特の知識を伝えている。『近世地方経済史料』所収。

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