打ち遣る(読み)ウチヤル

デジタル大辞泉 「打ち遣る」の意味・読み・例文・類語

うち‐や・る【打ち遣る】

[動ラ五(四)]
そのままにしておく。かえりみずにほうっておく。うっちゃる。
「代助は平生から、此位に世の中を―・っていた」〈漱石それから
遠くへやる。放して置く。
御髪は、こちたく清らにて、九尺ばかりおはしますを、結ひて―・られたり」〈夜の寝覚・四〉
屈託した気持ちなどを晴らす。
「なにとなく見聞くごとに心―・りて過ぐしつつ」〈右京大夫集詞書

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「打ち遣る」の意味・読み・例文・類語

うち‐や・る【打遣】

  1. 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙 ( 「うち」は接頭語 )
  2. 体から遠ざかるように、向こうへ伸ばす。また、わきへ寄せる。
    1. [初出の実例]「女の、手洗ふ所に貫簀(ぬきす)をうちやりて」(出典伊勢物語(10C前)二七)
  3. そのままにしておく。捨てておく。うっちゃる。
    1. [初出の実例]「けづることもし給はで程経ぬれど、まよふ筋なくうちやられて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)総角)
    2. 「からのふみよめぬ所をうちやりて〈曾良〉 ひともじ買に雪の山道〈コ斎〉」(出典:俳諧・飛登津橋(1686))
  4. (思いなどを)晴らす。
    1. [初出の実例]「なにとなく見聞くことに心うちやりて過ぐしつつ」(出典:建礼門院右京大夫集(13C前))

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