夜の
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平安後期の物語。『夜半(よわ)の寝覚』とも、単に『寝覚』ともよばれる。現在の伝本は五巻または三巻であるが、その中間部分と終末部分とに大きい欠巻部分がある。原形態は、現存本の2倍から3倍の量があったと推定されるが、厳密には不明である。作者については、藤原定家(ていか)が『浜松中納言(はままつちゅうなごん)物語』などとともに菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)の作と伝える(定家筆『更級(さらしな)日記』奥書)。現在なお確認されていないが、孝標女作説はもっと検討すべきであろう。物語は、太政(だいじょう)大臣の次女寝覚(ねざめ)の上(うえ)(中の君)の数奇な生涯を、彼女の心を掘り下げつつ息長く追求したもの。
少女時代に「あたら人の、いたくものを思ひ、心を乱したまふべき宿世(すくせ)」と予言された女主人公は、その予言どおりに悲運の人生を送る。不幸な出会いのあと、男主人公(左大臣の長男、中納言)は彼女の姉の夫となり、彼女もまた心ならずも老関白に嫁ぐ。男君は終始一貫女主人公を恋慕し続けるが、姉君が死に、寝覚の上が若き未亡人となってからも、二人の間には内外の障害が絶えない。すべての障害が除かれたときには、女主人公の心は男君を離れ、彼岸(ひがん)を希求していた。
女の危機のたびに彼女の意志と責任で生き抜くことを課し、そのつど、心の深層を探り当てるなど、執拗(しつよう)なまでの心理追求に特色をもつ、女が女の心を描いた特色ある長編物語である。『源氏物語』の影響下にあり、大きい欠巻をもちながら傑作と称されるのは、この特色による。なお、これを題材とした絵巻『寝覚物語絵巻』一巻(国宝、奈良・大和文華館)が現存する。
[鈴木一雄]
『阪倉篤義校注『日本古典文学大系78 夜の寝覚』(1964・岩波書店)』▽『鈴木一雄校注・訳『日本古典文学全集19 夜の寝覚』(1974・小学館)』▽『鈴木一雄・石埜敬子校注・訳『完訳日本の古典 夜の寝覚(1)(2)』(1984、85・小学館)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
※「夜の寝覚」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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