打任す(読み)ウチマカス

デジタル大辞泉 「打任す」の意味・読み・例文・類語

うち‐まか・す【打(ち)任す】

[動サ五(四)]すっかり任せる。任せきる。
「何もかも―・してりすがりたい憧れ」〈有島星座
[動サ下二]
に同じ。
衣紋を直すも、褄を揃うるも、皆他ひとの手に―・せつ」〈鏡花・琵琶伝〉
そのままの状態にしておく。ほうっておく。
「この病のありさま、―・せたることにあらず」〈宇治拾遺・四〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「打任す」の意味・読み・例文・類語

うち‐まか・す【打任】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 サ行下二段活用 〙 ( 「うち」は接頭語 )
    1. 相手のするままにしておく。放任する。また、自分に関することを他人にゆだねる。委任する。
      1. [初出の実例]「よろづをただうちまかせ聞え給ひて」(出典:浜松中納言物語(11C中)五)
      2. 「うちまかせて、心のままに、せさすべし」(出典:風姿花伝(1400‐02頃)一)
    2. 普通のこととする。ありきたりのこととして扱う。ありふれている。→打ち任せて
      1. [初出の実例]「仰云。陪膳は公達打任てすれども、諸家へ行や落ちぶれぬるにはきたなき事」(出典:富家語(1151‐61))
      2. 「このやまひのありさま、うち任せたることにあらず」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)四)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 サ行五(四) 〙 ( 「うち」は接頭語 ) [ 一 ]に同じ。
    1. [初出の実例]「全然打任かして思ふままに意見を行ふの余裕を与へられたことを謝し」(出典:思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉四)

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