富家語(読み)ふけご

改訂新版 世界大百科事典 「富家語」の意味・わかりやすい解説

富家語 (ふけご)

説話集高階仲行(1121-79)が,富家関白藤原忠実側近に侍して,忠実の語る故事や故事談を筆録したもの。1151-61(仁平1-応保1)の11年間に及び,その前約18年間の談話を筆録した大外記中原師元の《中外抄》2巻と,時期的には最後部がやや重なり,それを受けつぐ形になっている。従来《続群書類従》に収められて知られてきた《富家語談》は,この本の抄略本である。後の《古事談》は,この本から十数話を採った。そこから《宇治拾遺物語》や《十訓抄》に流れ込んだ話もある。《続古事談》とも直接関係が認められる。この本の全本系本文には,三条西公条筆益田本とその写しの宮内庁書陵部柳原均光筆本・神宮文庫三条実美筆本がある。宮田裕行解説《中外抄・冨家語》(勉誠社)は公条筆本の写真版。翻刻されたものには,《中世文学の世界》(岩波書店)と宮田裕行編《校本“中外抄”・“冨家語”とその研究》(勉誠社)がある。
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百科事典マイペディア 「富家語」の意味・わかりやすい解説

富家語【ふけご】

平安末期の説話集。1巻。抄略本は《富家語談》と称する。知足院殿富家殿と呼ばれた関白藤原忠実の談話を大外記(だいげき)高階仲行が筆録したもの。中原師元の《中外抄》に引き続く形で,1151年から忠実死去の前年,1161年までの談話を収める。内容は故事や有職故実が中心であり,《古事談》《続古事談》等の説話集の出典として重要。
→関連項目言談

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