江戸後期に編纂(へんさん)された日本画家の総合的辞典。堀真格(なおただ)(1808―80)が国学者黒川春村(はるむら)の協力のもとに編纂し、直格の自序と春村の序文をもつ。画家をその身分・属性によって「帝王親王部」「摂関准后部」「大臣部」「納言参議部」「位階部」「庶士部」「雑家部」「法親王部」「大菩薩(ぼさつ)部」「大師部」に分類した大部の構成で、それぞれに伝記資料の充実を図っている。作品中心の『考古画譜』、画家の伝記と作品の叙述をあわせる『古画備考』とともに、日本美術史学上の基本資料として、現在でもその価値はきわめて高い。春村の子真頼(まより)が1899年(明治32)に哲学書院より刊行した1874名収載の「史料大観本」全53巻が流布している。
[玉蟲玲子]
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…ほかに浮世絵師によるものとして,渓斎英泉の《無名翁随筆(増補浮世絵類考)》(1833)中にある〈大和絵師浮世絵之考〉は,さきの祐信の論旨を継いで,浮世絵師の立場を強く擁護し,粉本主義を批判している。大田南畝の《浮世絵類考》(1789ころ),朝岡興禎(おきさだ)の《古画備考》(1845‐50ころ),堀直格の《扶桑名画伝》(1854ころ)のような網羅的な画家伝も編集された。【辻 惟雄】。…
※「扶桑名画伝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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