抗血栓剤(読み)コウケッセンザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「抗血栓剤」の解説

抗血栓剤

血栓剤とは


 人体には、出血の際、血液中の血小板血液凝固因子線維素といった成分が協力して止血するはたらきが備わっています(止血作用)。一方、この止血作用が強すぎると血栓けっせん(血液のかたまり)が生じ、血管内につまってしまうので、発生した血栓を溶かすはたらきも備わっています(線溶現象)。


 ふだんは、この止血作用と線溶現象のバランスがとれていますが、動脈硬化症、脂質異常症、糖尿病などの病気をもつ人、手術を受けた人、人工臓器を体内に入れた人、経口避妊剤けいこうひにんざいの長期間使用者は、線溶現象のはたらきが低下し、血栓症がおこりやすくなります。


 この血栓症の治療・予防に用いるのが抗血栓剤で、抗凝血剤こうぎょうけつざい血栓溶解剤けっせんようかいざい(注射剤)、抗血小板剤こうけっしょうばんざいの3種類があります。


抗凝血剤


ヘパリンナトリウム製剤


抗血小板剤(血小板凝集阻止剤)


アスピリン配合製剤


サルポグレラート塩酸塩製剤


ベラプロストナトリウム製剤


イコサペント酸エチル製剤

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「抗血栓剤」の意味・わかりやすい解説

抗血栓剤
こうけっせんざい

血栓とは血管内にできた凝固した血の塊で,これが脳血管や心臓冠状動脈に付着すると,血液の流れが妨げられ大事にいたるケースがある。たとえば発生場所が脳血管内であれば脳出血脳梗塞となり,冠状動脈であれば心筋梗塞の原因となる。比較的軽症の患者に対してはニトログリセリン製剤,カルシウム拮抗剤,b-ブロッカー製剤などが投与される。重症の患者には,血栓を溶かす薬剤としてウロキナーゼ,組織プラズミノーゲン活性化因子 (TPA) などが用いられていたが,近年副作用などの問題からプロウロキナーゼ,エミナーゼ,プロテインCなどが開発されている。

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