抵当証券法(読み)ていとうしょうけんほう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「抵当証券法」の意味・わかりやすい解説

抵当証券法
ていとうしょうけんほう

昭和6年法律15号。土地,建物または地上権を目的とする抵当権に流通性を与えるため,抵当権を被担保債権とともに証券化するための手続きと証券の効力などについて定めた法律。抵当権とその被担保債権を証券化したものを抵当証券といい,抵当証券は裏書により他人に譲渡できる。これにより債権も抵当権もそのまま譲渡される。抵当権の流通性は近代抵当権の特色の一つであるが,日本では抵当証券の発行は当事者(抵当権設定者と抵当権者)の特約がある場合にかぎって認められ,しかも証券発行前に利害関係者から異議申し立てがあれば証券発行ができなかった。さらに抵当権の登記に公信力が認められないため(→公信の原則),これを証券化した抵当証券の公信力も部分的にしか認められないなど制約が多かった。そのため従来ほとんど利用されなかったが,抵当証券の販売を行なう抵当証券会社が,交付された抵当証券の原券を抵当証券保管機構に預けたうえで抵当証券を小口化し投資家に販売する事業が,1980年代後半以後のバブル経済と重なって拡大し,投資商品として注目されるようになった。しかし,バブル経済の崩壊とともに需要は大きく後退した。抵当証券の裏書譲渡をした者は,抵当権で弁済を受けえなかった証券所持人に対して償還義務を負わされる。なお,2006年の金融商品取引法制定によって,抵当証券は新たに有価証券と位置づけられ,抵当証券の業務規制だった抵当証券業規制法は廃止された。

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関連語 原則

世界大百科事典(旧版)内の抵当証券法の言及

【抵当証券】より

…これによって抵当権付債権に流通性が与えられ,抵当権者にとっては投下資本を迅速に回収できるし,不動産所有者にとっては資金の供給が容易に得られることになる。ドイツで発達をみた制度であるが,日本では1931年の抵当証券法によって導入された。同法は,1927年の金融恐慌の結果,地方銀行における不動産融資の回収不能が著しくなったため,これを証券によって流動化し地方銀行の窮状を救済しようとして制定されたものである。…

※「抵当証券法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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