持合・保合(読み)もちあう

精選版 日本国語大辞典 「持合・保合」の意味・読み・例文・類語

もち‐あ・う ‥あふ【持合・保合】

(「もちやう」とも)
[1] 〘他ワ五(ハ四)〙
互いに持つ。互いに持って寄る。共同関係が維持される。また、両方ともあわせ持つ。
遺言(1900)〈国木田独歩〉「初から其等のばかり撰で持合ったのだから、一として彼等情事に関しない者はない」
② =もちあわせる(持合)①〔日葡辞書(1603‐04)〕
人情本・婦女今川(1826‐28)八「盃を、持ちあひましたと広里がさしたを、とっていただき、すこしなめて」
[2] 〘自ワ五(ハ四)〙
① 互いに譲らないでがんばる。互いの力がつりあって保たれる。つりあいがとれている。
自由之理(1872)〈中村正直訳〉序「この百軒の家は、互ひに持ち合ひて一村となりたるものにして」
② 値段または相場が、小幅に一定の範囲を上下する状態、または動かない状態にある。
※大坂繁花風土記(1814)米方通言「持合。うごかぬ事」

もち‐あい ‥あひ【持合・保合】

〘名〙
双方が持つこと。互いに持ち寄ること。互いに力を合わせて維持すること。また、共同で使用すること。あるいは、その共有のもの。持合世帯。
※鵤荘引付‐応永二五年(1418)一〇月九日「家内并持合四壁竹木等、所帯私領田畠等雑具等者、悉以可寺門点定候」
② 勢力関係が均衡を保っていること。勝負がつかないこと。
※細流抄(1525‐34)一「ちにこそあらめ。地と持との二なり。持とは持合など云事なるべし」
③ 取引市場で、相場が動かないか、小幅な動きにとどまっている状態。
※稲の穂(1842‐幕末頃)「高下なきを小高下共、持合とも言ふ」
④ 今現在持っているもの。特に、金銭についていう。もちあわせ。
咄本・軽口初売買(1739)二「ぜに百文とりいだし、よきほどとらせ給へといふに、かのおんな、わたしがもちあひもこざるといふ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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