出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
明治前期のJ.S.ミルの「自由論」の翻訳書。中村正直(まさなお)訳。1872年(明治5)刊。5巻6冊。70年に訳出を始め,72年3月に完成。人間の個性の尊重を主張し,思想と言論の自由を力説した内容は,自由民権運動にも大きな影響をあたえた。しかしミルのいう自由が社会的自由であったのに,政治的自由として訳出するなどの問題点もあった。「西国立志編」とならぶ中村の啓蒙的訳業の代表作。「明治文化全集」所収。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
… libertyあるいはfreedomの訳語に〈自由〉をあてたのは江戸時代にさかのぼり,19世紀後半の辞書に見いだされるが,明治初年には自由の語のマイナス評価を意識的に避け,自主,自在などの訳語をあてる試みもなされた。しかし庶民の中に浸透していた〈自由〉の語は,中村正直の《自由之理》(1872)の普及と相まって,結局,その訳語として定着していく。このようなマイナス評価を多少ともともなった〈自由〉の語が,liberty,freedomの訳語となったことが,日本の近代における自由・自由主義に対する評価に微妙な影響を与えつづける結果になっている点は,見逃すわけにはいかない。…
…翌年静岡北郊の大岩村の屋敷に私塾同人社を営んだ。そのころよりサミュエル・スマイルズの《Self Help》を訳しはじめ,71年《西国立志編》として刊行し,72年にはジョン・スチュアート・ミルの《On Liberty》を《自由之理》として訳刊した。前者は近代国家形成期の広範な明治青年の精神的よりどころとなって愛読され,後者はとくに青年知識人の必読書となり,河野広中は本書によって自由民権思想に目が開かれたというほど,両書は強い影響を与えた。…
※「自由之理」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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