指導制民主主義[インドネシア](読み)しどうせいみんしゅしゅぎ[インドネシア](英語表記)Demokrasi Terpimpin; Guided Democracy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

指導制民主主義[インドネシア]
しどうせいみんしゅしゅぎ[インドネシア]
Demokrasi Terpimpin; Guided Democracy

スカルノ政治哲学の中心で,1945年憲法に唱われたが,59年からインドネシア政治の指導理念ないしは実践手段として正式に採択された。スカルノは,インドネシアにおいて実施された西欧議会制民主主義模倣が,インドネシアの政治的腐敗混乱をもたらすのみであったことを強く批判し,無規律な民主主義,指導性のない民主主義はインドネシアに適さないとして,強力な指導性,民主主義,社会主義を調和させた体制すなわち指導される民主主義を確立すべきであると主張した。 59年以来インドネシアにおいて確立された強力な大統領内閣,最高諮問会議,国民戦線,ゴトン・ローヨン (相互扶助) 国会,ナサコム体制,国民協議会,経済作戦最高司令部などの制度はいずれもこの指導される民主主義を実現するための体制であった。スハルト体制は,スカルノの政策を強く批判しつつも,この指導される民主主義についてはその精神と制度の多くを受継いでいる。

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