挿頭す(読み)カザス

デジタル大辞泉 「挿頭す」の意味・読み・例文・類語

かざ・す【挿頭す】

[動サ五(四)]《「かみ(髪)さ(挿)す」の音変化という》
草木の花や枝葉造花などを髪や冠にさす。「野の花を髪に―・す」
物の上に飾りつける。
「あやしき小家半蔀はじとみも、あふひなど―・して」〈堤・ほどほどの懸想

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「挿頭す」の意味・読み・例文・類語

かざ・す【挿頭】

  1. 〘 他動詞 サ行四段活用 〙
  2. 草木や花や枝葉を飾りとして髪または冠の巾子(こじ)の根に挿(さ)す。後世は造花も用いる。
    1. [初出の実例]「梅の花折りて加射世(カザセ)るもろ人はけふの間は楽しくあるべし」(出典:万葉集(8C後)五・八三二)
    2. 「露ながらをりてかざさむ菊の花おいせぬ秋のひさしかるべく〈紀友則〉」(出典:古今和歌集(905‐914)秋下・二七〇)
  3. 上に飾りつける。
    1. [初出の実例]「門ごとにたつる小松にかざされて宿てふ宿に春は来にけり」(出典:六家集本山家集(12C後)上)
    2. 「作りたる桜をまぜ、くだ物の上にかざして」(出典:頼政集(1178‐80頃)上)

挿頭すの語誌

( 1 )「かざす」行為には、植物を挿して身に付けることにより、自然の持つ霊力を自分に感染させる意味があったと思われる。「万葉集」では黄葉・梅・萩・瞿麦・桜・柳・藤・山吹などの草花が「かざし」の対象とされている。
( 2 )この語の他に、「かづら」「かづらく」も長い蔓のものを頭に着け、蔓草感染呪術の意味を持つ。→かつら(鬘)かずらく(鬘)

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