捨文(読み)ステブミ

デジタル大辞泉 「捨文」の意味・読み・例文・類語

すて‐ぶみ【捨(て)文】

捨て」に同じ。
自分意見他人の秘密を記し、道などに捨てておく無署名の文書落書らくしょ。落とし文。
心のこもらない、あいさつだけの手紙
「いかなこと、―一つもやらず、さりとは気の強い女郎たち」〈浮・元禄大平記〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「捨文」の意味・読み・例文・類語

すて‐ぶみ【捨文】

〘名〙
① 江戸時代、評定所奉行所の門内に、密告や訴えを書いて投げ入れられた訴状。→捨訴
御触書寛保集成‐四四・享保六年(1721)閏七月二五日「覚 ちかき比は度々所々え、けみゃう并住所等これなきすてふみいたし、法外の事共も有之候」
② 自分の氏名を書かないで、趣旨だけを書いて、目ざす所に捨てておく文書。落書
御伽草子・判官みやこはなし(室町時代物語大成所収)(室町末)「たがいのしらぬすてふみは、なにかはくるしうさふらうべき」
③ 通りいっぺんの時候伺いや挨拶(あいさつ)だけの手紙。
本福寺跡書(1560頃)大宮参詣に道幸〈略〉夢相之事「他国ずまいをしてあるに、いかにと、すてぶみのおとづれ、ことばのおとづれさへなくして」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の捨文の言及

【落文】より

…主として江戸時代の脅迫を伴った訴願または密告書。捨文,捨訴ともいう。正規の手続をふまずに評定所や老中の邸内または近辺に置いた訴願書,日ごろ恨みのある家の門前に落とした放火予告書,事件の真犯人を示唆した投書の類をいう。…

※「捨文」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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