掛けて(読み)カケテ

デジタル大辞泉 「掛けて」の意味・読み・例文・類語

かけ‐て【掛けて】

[副]
心にかけて。
山越しの風を時じみる夜おちず家なる妹を―しのひつ」〈・六〉
ちょっと。少しでも。
「この人の御ことをだに―聞き給ふは」〈夕霧
(下に打消し・反語の語を伴う)決して。いささかも。
「つれなく知らず顔にて、―思ひ寄らぬさまに」〈夕顔

かけ‐て【掛けて】

[連語]
(「…にかけては」の形で用いる)…に関しては。…については。「早起きに掛けては彼の右に出る者はいない」
(「…から…にかけて」「…から…へかけて」の形で)ある所・時から他の所・時まで、動作状態が及ぶ意を表す。…にわたって。「この鳥は秋から冬に掛けて日本にやって来る」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「掛けて」の意味・読み・例文・類語

かけ‐て【掛て・懸て】

  1. 〘 副詞 〙 ( 動詞「かく(掛)」の連用形に助詞「て」が付いてできた語。「物事に関係づけて」の意から )
  2. あとに否定、反語の表現を伴って、まったく予測もしない気持を表わす。決して。全然。ゆめにも。いささかも。かけても。
    1. [初出の実例]「かけてだにわが身の上と思ひきやこむ年春の花を見じとは〈伊勢〉」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)哀傷・一四二二)
    2. 「いかなる折か来りけん、木曾の掛け橋かけてだに、思はぬ敵に落されて」(出典:謡曲・生田敦盛(1520頃))
  3. ふと。ちょっと。少しでも。いささかも。かけても。
    1. [初出の実例]「をのこどもさけかひてさかなこふぞや、かけてきけば心ちこそまどへ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)藤原の君)

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