反語(読み)ハンゴ

デジタル大辞泉の解説

はん‐ご【反語】

断定を強調するために、言いたいことと反対の内容を疑問の形で述べる表現。「そんなことがあり得ようか(あるはずがない)」などの類。
表面ではほめ、またはそしって、裏にその反対の意味を含ませる言い方。多くは皮肉な言い方となる。「ふん、よく出来た子だよ(まったくひどい)」などの

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大辞林 第三版の解説

はんご【反語】

話し手が自分の考えを強く言うために、主張と反対の内容を疑問の形で表現すること。「彼がそんなことをするだろうか(=彼は絶対にしない)」などの類。
実際とは反対のことを言って、暗に本当の気持ちを表現した言い方。遅れて来た人に、「ずいぶんとお早いお着きですね」などの類。アイロニー。
反対の語句を用いて、表現したい事物を言い表すこと。「葦あし」を「よし」、「すり鉢」を「あたり鉢」などという類。 → 忌み詞ことば
江戸時代の語源説明法の一。ある語が二語の反切によってできたとするもの。また、そうしてできた語。「あわうみ」より「おうみ」ができたとする類。 → かながえし

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

反語
はんご

反語には、次の二つの場合がある。一は、いいたいことを平叙文の形で述べずに、表現を強調するためにわざと疑問文の形で、「そんなことが許されてもいいものだろうか」と述べる場合である。「そんなことは許されない」と平叙の形で述べるよりも、表現が強くなる。文法などで「反語」というときは、つねにこの意味で、英語のrhetorical question(修辞疑問)に該当する。
 二は、真にいいたいことと反対の意味をもつことばを使うことによって、皮肉・非難・軽蔑(けいべつ)の意を込める場合である。みるからにみすぼらしい服装をみて、「りっぱな身なりをしていらっしゃる」などといい、英語のironyに該当する。
 第一の問いかけの反語は、だれにでも真意を理解してもらえるが、第二の正反対の表現をする反語は、その真意を理解してもらえないことがある。たとえば、「あんなよい人はいない」といったとき、当人が悪徳の限りを尽くしている人物であることを思い浮かべて、その表現が反語であることを理解する人もいるが、反語であることに気づかずに、話し手のほうをかえってうそつきだと誤解する人もいる。また、ことばどおりに真(ま)に受ける人もいる。この第二の反語は、普通、書かれた文章では、文脈に生ずる違和感によって察知される。話しことばでは、話し手の声の調子、表情、身ぶり、人柄、表現内容のあり方などによって察知される。[山口仲美]

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精選版 日本国語大辞典の解説

はん‐ご【反語】

〘名〙
① 反切②で説明される語形。かえしの語。「はたおり」が「服部(はとり)」に変化したとするときの、「はたおり」に対する「はとり」の類。
※日本釈名(1699)凡例「反語(ハンゴ)はかな返し也、はたおりを服部(はとり)とし、かるがゆゑをかれとし〈略〉やすくきゆるを雪とするの類多し」
② 単語の音の順序を逆にした語。「はまぐり」を「ぐりはま」という類。逆(さかさ)ことば。
③ ある事物を忌んだりして、それを表わす本来の語を用いる代わりに、反対の意味をもつことばでその事物をさすこと。「あし(葦)」を「よし」、「死ぬ」を「直る」という類。
※和訓栞(1777‐1862)「反語あり、葦をよしといひ、僧を髪ながといふの類是也」 〔段成式‐法酒贈周繇詩〕
④ 表面でほめ、またはそしって、裏にある反対の意味をさとらせるような表現。
※二人の友(1915)〈森鴎外〉「初め君が他人の空似は有るものだと云ったのは反語(ハンゴ)でなくてはならない」
断定を強めるために、肯定の疑問または否定の疑問の形で問いかけ、当然の応答として反対の結論を読者に要求する表現。「思わざるべけんや」「思わましやは」「来べきものかは」などの類。
※当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一二「反語(ハンゴ)ばかしいやに重なって読悪くって」

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