反語(読み)ハンゴ

デジタル大辞泉 「反語」の意味・読み・例文・類語

はん‐ご【反語】

断定を強調するために、言いたいことと反対内容疑問の形で述べる表現。「そんなことがあり得ようか(あるはずがない)」などの類。
表面ではほめ、またはそしって、裏にその反対の意味を含ませる言い方。多くは皮肉な言い方となる。「ふん、よく出来た子だよ(まったくひどい)」などの類。
[類語]アイロニー逆説的逆説パラドックス

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精選版 日本国語大辞典 「反語」の意味・読み・例文・類語

はん‐ご【反語】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 反切で説明される語形。かえしの語。「はたおり」が「服部(はとり)」に変化したとするときの、「はたおり」に対する「はとり」の類。
    1. [初出の実例]「反語(ハンゴ)はかな返し也、はたおりを服部(はとり)とし、かるがゆゑをかれとし〈略〉やすくきゆるを雪とするの類多し」(出典:日本釈名(1699)凡例)
  3. 単語の音の順序を逆にした語。「はまぐり」を「ぐりはま」という類。逆(さかさ)ことば。
  4. ある事物を忌んだりして、それを表わす本来の語を用いる代わりに、反対の意味をもつことばでその事物をさすこと。「あし(葦)」を「よし」、「死ぬ」を「直る」という類。
    1. [初出の実例]「反語あり、葦をよしといひ、僧を髪ながといふの類是也」(出典:和訓栞(1777‐1862))
    2. [その他の文献]〔段成式‐法酒贈周繇詩〕
  5. 表面でほめ、またはそしって、裏にある反対の意味をさとらせるような表現。
    1. [初出の実例]「初め君が他人の空似は有るものだと云ったのは反語(ハンゴ)でなくてはならない」(出典:二人の友(1915)〈森鴎外〉)
  6. 断定を強めるために、肯定の疑問または否定の疑問の形で問いかけ、当然の応答として反対の結論を読者に要求する表現。「思わざるべけんや」「思わましやは」「来べきものかは」などの類。
    1. [初出の実例]「反語(ハンゴ)ばかしいやに重なって読悪くって」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一二)

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普及版 字通 「反語」の読み・字形・画数・意味

【反語】はんご

強勢語法。肯定・否定を逆の形でいう。また、反切語。〔顔氏家訓、書証〕は~河南の虔、~る。~玄以は、く反語を解せず。俗(文)の反は、甚だ俗に會す。

字通「反」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「反語」の意味・わかりやすい解説

反語
はんご

反語には、次の二つの場合がある。一は、いいたいことを平叙文の形で述べずに、表現を強調するためにわざと疑問文の形で、「そんなことが許されてもいいものだろうか」と述べる場合である。「そんなことは許されない」と平叙の形で述べるよりも、表現が強くなる。文法などで「反語」というときは、つねにこの意味で、英語のrhetorical question(修辞疑問)に該当する。

 二は、真にいいたいことと反対の意味をもつことばを使うことによって、皮肉・非難軽蔑(けいべつ)の意を込める場合である。みるからにみすぼらしい服装をみて、「りっぱな身なりをしていらっしゃる」などといい、英語のironyに該当する。

 第一の問いかけの反語は、だれにでも真意を理解してもらえるが、第二の正反対の表現をする反語は、その真意を理解してもらえないことがある。たとえば、「あんなよい人はいない」といったとき、当人が悪徳の限りを尽くしている人物であることを思い浮かべて、その表現が反語であることを理解する人もいるが、反語であることに気づかずに、話し手のほうをかえってうそつきだと誤解する人もいる。また、ことばどおりに真(ま)に受ける人もいる。この第二の反語は、普通、書かれた文章では、文脈に生ずる違和感によって察知される。話しことばでは、話し手の声の調子、表情、身ぶり、人柄、表現内容のあり方などによって察知される。

[山口仲美]

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