揣摩臆測(読み)しまおくそく

四字熟語を知る辞典 「揣摩臆測」の解説

揣摩臆測

自分の心で、人の心をおしはかること。はっきりした根拠もなく情勢をおしはかること。当て推量

[活用] ―する。

[使用例] 彼らは求婚に対しては優位の資格から揣摩臆測し、比率較計し、殉情より利益を考える[岡本かの子*生々流転|1939]

[使用例] 天候が不良なのだろうとか、何か新しい企図があるのだろうという揣摩憶測が交わされた[阿川弘之*春の城|1952]

[使用例] そこで率直にお聞きしますが、「会長室」について、揣摩臆測がとび、国民航空のシャドウ・キャビネットなどという声も耳に入って参りますが、会長室とはどのような部署なのですか、お伺いします[山崎豊子*沈まぬ太陽|1999]

[解説] 「揣摩」の「揣」には「なでて探る」、「摩」にも「なでる」の意味があります。それが抽象化して「推測する」という意味が生まれました。
 昔は「揣摩」だけで使うことも普通でした。「父の心意をかように揣摩することを」(夏目漱石「門」)などの例があります。でも、現在では「揣摩臆測」の形で使われることがほとんどです。
 「臆測」は「憶測」でもかまいません。二〇一〇年以前は常用漢字に「臆」がなかったため、多く「憶測」と書かれました。現在は「臆測」が標準的です。細かく言えば「臆」は「根拠もなく推測する」の意味、「憶」は「思う、覚える」の意味で使い分けるのが便利です。
 「揣摩」と「臆測」とをくっつけると、単に推測するだけではなく、「あれこれ」「いろいろさまざまに」推測するという意味合いが加わります。例文の[沈まぬ太陽]は、特にわかりやすい例です。「会長室」という実態不明なものについて、みんなが「あれか、これか」と推測する。これが揣摩臆測です。

出典 四字熟語を知る辞典四字熟語を知る辞典について 情報

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