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山崎豊子 やまざきとよこ

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知恵蔵の解説

山崎豊子

小説家。1924年、大阪・船場の老舗昆布店に生まれる。実際の事件や出来事に基づいた、権力や組織の裏側などに迫る社会性の強いテーマに加え、人間模様も織り交ぜた物語で幅広い層から支持を得る。代表作の一つ『不毛地帯』は累計540万部を誇るベストセラーとなっている。精力的で綿密な取材と、膨大な資料集めでも有名。1991年、菊池寛賞受賞。2009年刊行の『運命の人』で、同年に毎日出版文化賞特別賞を受賞。
京都女子専門学校(現・京都女子大)を卒業後、45年に毎日新聞大阪本社学芸部に勤め、家庭面の記者を担当。当時同社に在籍していた作家・井上靖の指導を受ける。勤めながら書いた、生家をモデルにした作品『暖簾(のれん)』で57年に作家デビュー。翌58年、吉本興業の女性創業者をモデルにした『花のれん』で直木賞を受賞。その後毎日新聞社を退社し、作家業に専念し始める。
59年『ぼんち』、63年『女系家族』、64年『花紋』などを刊行。65年に刊行した、医学界の権力闘争医療過誤を描いた『白い巨塔』はサンデー毎日連載当時から話題で、映画化・ドラマ化するなどの大ヒット作となり、以降、実在する事件や社会問題、権力の暗部などを扱った長編小説を発表するようになった。政治と資本の癒着に迫る『華麗なる一族』(73年)、シベリア抑留がテーマの『不毛地帯』(76年)、中国残留孤児の人生を描く『大地の子』(91年)、航空会社を舞台に日本型企業の労使問題を扱った『沈まぬ太陽』(99年)など、代表作のほとんどが映画化やドラマ化され、作品によっては時代を越えてリメイクされている。2009年に映画化された『沈まぬ太陽』は、日本アカデミー賞を受賞した。
また、『大地の子』の印税などを基に1993年に「山崎豊子文化財団」を設立。日本に帰国した中国残留孤児の学資援助なども行っている。
人気の一方、盗用疑惑でたびたび訴訟問題を起こした。『花宴』(68年)では、レマルクの『凱旋門』の訳文や芹沢光治良の小説『巴里夫人』等からの盗用があるのではないかと問題視された。このことがきっかけで、日本文藝家協会を退会。1年間執筆活動をやめたのち、69年に同協会に再入会する。また『不毛地帯』について、朝日新聞社新聞記事からの盗用があることを指摘した記事を掲載。山崎氏が朝日新聞社を名誉棄損で訴えたが、78年に和解。『大地の子』でも大学教授から著作権侵害で訴えられたが、山崎氏が勝訴した。
13年9月29日、88歳で呼吸不全により死去。13年8月から「週刊新潮」に連載していた小説「約束の海」が遺作となった。

(富岡亜紀子  ライター / 2013年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
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デジタル大辞泉の解説

やまさき‐とよこ【山崎豊子】

[1924~2013]小説家。大阪の生まれ。本姓、杉本。大阪を舞台にした小説で執筆活動をスタートし、「花のれん」で直木賞受賞。その後は綿密な取材に基づく社会派の問題作を数多く手がけ、人気作家となる。他に「白い巨塔」「大地の子」「華麗なる一族」など。映像化された作品も数多い。

出典|小学館
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百科事典マイペディアの解説

山崎豊子【やまざきとよこ】

小説家。本姓杉本。大阪市南区(現中央区)の船場に生れる。1944年京都女専(現京都女子大)国文科卒業。毎日新聞入社,学芸部で当時学芸部長だった井上靖のもとに働く。
→関連項目山本薩夫

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

山崎豊子 やまさき-とよこ

1924-2013 昭和後期-平成時代の小説家。
大正13年11月3日生まれ。毎日新聞社につとめ,当時上司だった井上靖に指導される。昭和33年「花のれん」で直木賞。医学界の暗部をさぐった「白い巨塔」(40年)以来,「不毛地帯」「大地の子」で社会的なテーマを追求して話題をよび,平成3年菊池寛賞。21年「運命の人」で毎日出版文化賞。平成25年9月29日死去。88歳。大阪府出身。京都女子専門学校(現・京都女子大)卒。本名は杉本豊子。

出典|講談社
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

山崎豊子
やまさきとよこ

[生]1924.1.2. 大阪,大阪
[没]2013.9.29. 大阪
作家。本名杉本豊子。社会問題に深くメスを入れた重厚なベストセラー小説で知られた。大阪市船場の老舗の昆布商の家に生まれた。1944年京都女子高等専門学校(→京都女子大学)を卒業後,毎日新聞大阪本社に入社した。学芸部記者時代の 1957年に生家をモデルにした『暖簾』でデビュー。1958年『花のれん』で直木賞を受賞して作家生活に入った。大学病院の権力闘争や医療ミスを告発した『白い巨塔』(1965),『続白い巨塔』(1969),戦闘機選定をめぐる政界と商社の癒着を描いた『不毛地帯』(全4巻,1976~78),中国残留孤児の半生を綴った『大地の子』(全3巻,1991),飛行機事故を招いた航空会社の体質を暴いた『沈まぬ太陽』(全5巻,1999),沖縄返還協定に関する外務省密約事件を扱った『運命の人』(全4巻,2009)など,著作の大半は映画やテレビドラマとなり,人気作家になった。学徒動員で学業の夢を道半ばに断たれた体験から戦争を憎み,綿密な取材で国家や巨大組織の暗部をえぐり出した。1991年菊池寛賞,2009年毎日出版文化賞特別賞を受賞。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

山崎豊子
やまさきとよこ
(1924―2013)

小説家。大阪市生まれ。1944年(昭和19)京都女子専門学校国文科卒業。毎日新聞社入社、調査部から学芸部へ移り井上靖(やすし)のもとで働く。1957年(昭和32)生家の昆布商をモデルに大阪の商人気質(かたぎ)を描いた処女作『暖簾(のれん)』を発表して注目され、ついで女席亭の苦闘の一代を描いた『花のれん』(1958)で第39回直木賞受賞、大阪商人の典型を描ききって、以後文壇の第一線に躍り出た。『しぶちん』(1958)、『ぼんち』(1959)、『女の勲章』(1960~1961)、『女系家族』(1962~1963)、『花紋(かもん)』(1962~1964)と次々に話題作を発表、船場(せんば)ものを脱し、続いて、『白い巨塔』(1963~1965)、『続白い巨塔』(1967~1968)では医学界の暗部を抉(えぐ)り、一時盗用問題で文壇から遠ざかったが、金融界を舞台に閨閥(けいばつ)・企業悪・官僚悪を描いた『華麗なる一族』(1973)、シベリアの強制収容所を描く『不毛地帯』(1976~1978)、日系人強制収容所・太平洋戦争・原爆・東京裁判をテーマとした『二つの祖国』(1980~1983)、中国を舞台に戦争孤児を描いた『大地の子』(1987~1991。菊池寛賞)、ケニアを舞台にした『沈まぬ太陽』(1995~1998)等、綿密な取材力と構成力を備え、社会的視野にたった問題作・長編力作を次々と書き継いだ。1993年(平成5)、山崎豊子文化財団を設立した。[橋詰静子]
『『山崎豊子全作品 1957―1985』全10巻(1985~1986・新潮社) ▽『「大地の子」と私』(1999・文芸春秋) ▽『暖簾』『花のれん』『女系家族』『白い巨塔』上下『続白い巨塔』『華麗なる一族』『不毛地帯』1~4『二つの祖国』上中下『沈まぬ太陽』1~5(新潮文庫) ▽『大地の子』1~4(文春文庫)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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