損田(読み)そんでん

精選版 日本国語大辞典 「損田」の意味・読み・例文・類語

そん‐でん【損田】

〘名〙 令制で、水旱虫霜などの天災によって収穫が減少した田。五割減収の田は租を、七割減収は租調を、八割以上は租庸調を免じられた。不熟田。
正倉院文書‐天平八年(736)薩摩国正税帳「壱度撿挍伯姓損田」
地蔵菩薩霊験記(16C後)一二「住僧一人召具して損田(ソンデン)の旁に至りて見行(ありき)玉へば」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「損田」の意味・読み・例文・類語

そん‐でん【損田】

律令制で、台風大水・霜・ひでり・虫などの天災によって収穫が減った田。減収が5割の田は租を、7割の田は租・調を、8割以上の田は租・庸・調を免じられた。不熟田。→調

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の損田の言及

【損田法】より

…日本古代,律令国家の損田に対する租税免除措置等の処分法。損田とは耕作可能な堪佃田(かんでんでん)のうち,播種後に災害などで不熟田化した田地をいう(図)。…

【損免】より

…自今以後に於いては,所務人地主名主作人等立相内検せしめ,立毛に応じて之を乞い,下行有るべし〉(六角氏式目13条)などと見えるように,中世においては自然災害による被害がひどい場合,百姓たちは損免要求を行い,作毛を刈り取らず領主側に被害状況を認識させ,収穫の減少することを認めさせる手続が必要となる。代官の派遣を得て内検注による調査が行われ,通常の収穫のあった〈得田〉と被害をうけた〈損田〉とを調査した上で,年貢決算が行われた。少額の減免は例年みられたが,大規模な損免は百姓らの損免要求の力に負うところが大きかった。…

※「損田」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android