デジタル大辞泉
「携」の意味・読み・例文・類語
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たずさ・える たづさへる【携】
※
書紀(720)景行二七年一二月(北野本訓)「
川上梟帥(かはかみのたける)其
(そ)の童女
(おとめ)の
容姿(かほ)に感
(め)てて、則
(すなは)ち手を携
(タツサヘ)、席
(むしろ)を同
(をな)しうす」
② (どこかへ行く際に)身近に持つ。〔文明本節用集(室町中)〕
※談義本・風流志道軒伝(1763)四「辻々には
賤者(いやしきもの)ども棒をたづさへて」
③ 伴って行く。連れだって行く。
※
太平記(14C後)三四「或時曹娥と云ける一人の娘携
(タツサ)へて、他国へぞ落行ける」
④ 結びつらねる。互いに関係をもちあう。かかり合いをもつ。
※
曾我物語(南北朝頃)四「人丸・赤人の跡をたづね、
業平・
源氏の物語に情をたづさへ」
たずさわ・る たづさはる【携】
[1] 〘他ラ五(四)〙 (手などを)互いにとりあう。たずさえる。
※書紀(720)雄略二年一〇月(前田本訓)「朕、豈汝(いまし)の妍咲(よきゑまひ)を覩まく欲せじやとのたまひて乃ち手を相ひ携(タツサハ)りて」
[2] 〘自ラ五(四)〙
① ((一)から転じて) 連れ立つ。
※
万葉(8C後)一七・三九九三「思ふどち 馬うち群れて 多豆佐波理
(タヅサハリ) 出で立ち見れば」
② ある事柄に関係する。かかり合う。従事する。
※散木奇歌集(1128頃)秋「此の事にたづさはれる人をば」
※
浄瑠璃・善光寺御堂供養(1718)「法界摂待の茶を汲で、
往来(ゆきき)の人にたづさはり」
③ 物にひっかかる。
※和泉式部集(11C中)上「なにはがたみぎはの葦にたづさはる舟とはなしにあるわが身かな」
④ (「杖(つえ)にたずさわる」の形で) 杖にすがる。杖を支えとする。
たずさ・う たづさふ【携】
[1] 〘自ハ四〙
① (互いに手をとり合う意から) 連れ立つ。
※万葉(8C後)四・七二八「人もなき国もあらぬかわぎもこと携(たづさひ)行きてたぐひてをらむ」
② かかわる。かかり合いをもつ。関係する。従事する。
※民部卿家歌合(1195)「ただ此の道にたづさひて」
たださわ・る たださはる【携】
※大慈恩寺三蔵法師伝永久四年点(1116)二「
万里を渉ると雖も、
(も)ち携
(タタサハル)所無し」
うつ‐から・ぶ【携】
〘他バ四〙 (「からぶ」は絡む意) たずさえる。手を組み合わせる。
※書紀(720)雄略二年一〇月(図書寮本訓)「乃ち、手を相携
(ウツカラビ)(〈別訓〉たづさは)て
後宮(きさきのみや)に入りたまふ」
たずさ・ゆ たづさゆ【携】
〘他ヤ下二〙 (ハ行下二段動詞「たづさふ」から転じて室町時代頃から用いられた語。
終止形は多く「たずさゆる」の形をとる) =
たずさえる(携)※饅頭屋本節用集(室町末)「携 タヅサユル」
たださ・う たださふ【携】
※東大寺本大般涅槃経平安後期点(1050頃)二〇「手を携(タタサヘ)て」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報