擡頭(読み)たいとう

改訂新版 世界大百科事典 「擡頭」の意味・わかりやすい解説

擡頭 (たいとう)

文章中において,高貴な人の称号・行為に関する語に対して,敬意を表すためにとる記述形式の一つで,敬意を表すべき語で改行すると同時に,他の行よりも1~2字ほど高いところから書き出す方法である。このような記述形式には,擡頭のほか,その語の上を1字ないし数字分空ける闕字(けつじ),その語が行の途中に出たらその語を行の最上にするため改行する平出(へいしゆつ)がある。闕字,平出は,律令国家公文書様式等を制した公式令にも定められ,古代中世近世を通じて公私文書・記録類に使用された。これに対して擡頭は平出の発展したもので,古代・中世においてはほとんど用いられず,近世においてまま見られる。貴人のうちでも,とくに御公儀,禁裏,御殿様といった称号を指す語にのみ用いられたようである。しかし,古代・中世でも,中国風の書簡,起請文の神名などで擡頭ではないかと思われる例がいくつか存在している。
平出
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

普及版 字通 「擡頭」の読み・字形・画数・意味

【擡頭】たいとう

擡写。〔経解入門、科場解経程式〕經解は策と同じからず。體皆擡頭無し。其の擡頭するは、乃ち纂・欽定等の書を引くときのみ。然れども此の書を引くに、且つ須(すべか)らく三擡すべし。

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