平出(読み)ヘイシュツ

デジタル大辞泉 「平出」の意味・読み・例文・類語

へい‐しゅつ【平出】

文中天皇や高貴な人の名・称号などを書くとき、敬意を表すためにその文字から行を改め、前の行と同じ高さに書き出すこと。平頭抄出。→闕字けつじ

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精選版 日本国語大辞典 「平出」の意味・読み・例文・類語

へい‐しゅつ【平出】

  1. 〘 名詞 〙へいとうしょうしゅつ(平頭抄出)
    1. [初出の実例]「皇祖。〈略〉皇后。右皆平出。〈謂。平頭抄出〉」(出典:令義解(718)公式)
    2. [その他の文献]〔唐六典注‐礼部・郎中員外郎〕

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改訂新版 世界大百科事典 「平出」の意味・わかりやすい解説

平出 (へいしゅつ)

律令国家公文書の記述中に,天皇・皇后皇祖等を示す語があるとき,文章を改行してその語を行の先頭に置き,敬意を表す記述方法。律令国家の公文書(公式様文書)の様式等を制した公式令に定められている。同令には,平出のほか皇太子中宮の称号あるいは天皇の行為を示す語について,その1~数字分上を空ける闕字(けつじ)の方法も定められている。中世では,この平出,闕字は,公式様文書ばかりでなく,書札様文書にも使用され,平出はもっぱら院宣・綸旨の院・天皇の仰せを表す〈院宣〉〈院〉〈御気色〉〈天気〉〈綸旨〉等にのみ用いられ,文書としての院宣・綸旨,その他〈奏聞〉〈天裁〉〈禁裏〉等の語,あるいは皇太子・親王・摂関を示す語には闕字が用いられている。将軍については,鎌倉時代には闕字・平出ともにみられない。室町時代以降〈公方〉が闕字扱いされ,近世には〈御公儀〉や公儀からの〈仰出〉に平出が用いられるようになる。また近世では,公儀のほか〈太守様〉や〈御役所様〉まで闕字あるいは平出で扱われ,さらに平出より敬意を表す擡頭も現れる。
擡頭
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「平出」の解説

平出
へいしゅつ

文書の本文で,敬意を表すべき言葉が出てきた場合,改行して必ず行の最上に書くようにすること。古代の律令には,天皇・太上天皇・皇后などの言葉に用いるよう規定している。しかし必ずしも厳密に適用されず,綸旨などの言葉にも使用されるようになった。綸旨によく使用される「天気」(天皇の意思の意)という言葉は,必ず平出となった。

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普及版 字通 「平出」の読み・字形・画数・意味

【平出】へいしゆつ

改行。

字通「平」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の平出の言及

【闕字】より

…すなわち大社や陵の名および乗輿,車駕,詔書,勅旨,明詔,聖化,天恩,慈旨,中宮,闕庭,朝庭,東宮,皇太子,殿下などの文字がそれである。なお令には闕字よりさらに丁寧な平出(へいしゆつ)という方法を定めている。これは皇祖,皇祖妣,皇考,皇妣(天皇の祖父母と父母),先帝,天子,天皇,皇帝,陛下などの文字や天皇の諡(おくりな)は,次の行の行頭に書くもの。…

【擡頭】より

…文章中において,高貴な人の称号・行為に関する語に対して,敬意を表すためにとる記述形式の一つで,敬意を表すべき語で改行すると同時に,他の行よりも1~2字ほど高いところから書き出す方法である。このような記述形式には,擡頭のほか,その語の上を1字ないし数字分空ける闕字(けつじ),その語が行の途中に出たらその語を行の最上にするため改行する平出(へいしゆつ)がある。闕字,平出は,律令国家の公文書の様式等を制した公式令にも定められ,古代・中世・近世を通じて公私の文書・記録類に使用された。…

※「平出」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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