政治倫理条例(読み)せいじりんりじょうれい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「政治倫理条例」の意味・わかりやすい解説

政治倫理条例
せいじりんりじょうれい

自治体の公務担当者が、その公的地位を利用して私的な利得を得ていないことを証明するため、議員首長などの資産や所得の状況を定期的に報告させて審査、公開したり、汚職事件を起こした議員や首長などに対する措置を定めた条例。汚職事件の発生に対する批判反省から、1983年(昭和58)に大阪府堺(さかい)市で初めて制定され、95年末までにすべての都道府県および政令指定都市で制定された。そのなかには、家族名義による資産隠しという抜け道を防ぐため、資産公開の対象を公務担当者本人に加えて配偶者や子にまで広げた条例もある。

 1993年(平成5)1月施行の資産公開法により、国会議員だけでなく、すべての知事や市区町村長、都道府県や政令指定都市の議員についても、95年末までに資産公開の条例を制定し、国会議員に準じて公開しなければならないことになった。その結果、1996年度末までには、すべての市町村にも条例が制定された。しかし、資産公開法は公開の対象が狭く、報告書を審査する機関や住民の調査請求などの規定がないので、既存の条例よりも後退した条例を制定した自治体が多い。

[高木鉦作]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

南海トラフ臨時情報

東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...

南海トラフ臨時情報の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android