数値流体力学(読み)すうちりゅうたいりきがく(その他表記)computational fluid dynamics

日本大百科全書(ニッポニカ) 「数値流体力学」の意味・わかりやすい解説

数値流体力学
すうちりゅうたいりきがく
computational fluid dynamics

流体運動方程式コンピュータにより数値的に計算し、流れを可視化して観察観測・設計する手法。英語の略称CFDでよばれることもある。コンピュータの性能の向上にあわせて飛躍的に進歩した。元になる流体の運動方程式は、ナビエ‐ストークス方程式などの非線形方程式であるため、解析的に解くことがむずかしいが、気象予報における三次元モデルの構築などで、数値的に大規模な計算をスーパーコンピュータで実行することにより、非常に大きな成果をあげている。航空機や高速鉄道、自動車などの流体中を移動する機体・車体設計において、数値流体力学が風洞実験とともに使用されている。また宇宙物理における惑星系の進化過程、銀河の双極ジェットの解明などにも重要な役割を果たしている。さらに、核融合や地球温暖化シミュレーションなど多岐な分野で使われている。

[山本将史 2022年3月23日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「数値流体力学」の意味・わかりやすい解説

数値流体力学
すうちりゅうたいりきがく
computational fluid dynamics

計算流体力学ともいう。流体運動を支配するナビエ=ストークス方程式などの基礎方程式を,高速の大型計算機を用いた数値計算により直接解いて,空気や水の流れを明らかにする方法。コンピュータの発達に伴い,流体機械,自動車,航空機などの流れに関係する設計や現象の解明に広く利用されている。空間や時間に張りめぐらした格子点上で,基礎方程式を離散化して代数方程式に置き換え,大型の連立1次方程式などを数値計算技術で効率的に解くことになる。空間の解像度を十分にとれないため,乱流モデルなどの物理的考察に伴う仮定を必要とする。

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