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核融合 かくゆうごうnuclear fusion

翻訳|nuclear fusion

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

核融合
かくゆうごう
nuclear fusion

原子核融合ともいう。2つの軽い原子核が結合してより重い原子核を形成する現象。代表的な反応の例は,(1) D+D→3He+n+3.27MeV ,(2) D+D→T+p+4.04MeV ,(3) T+D→4He+n+17.6MeV ,(4) 3He+D→4He+p+18.4MeV などであり,いずれも発熱反応で外部に大きなエネルギーを放出する。水爆はこのエネルギーを利用したものであり,また恒星のエネルギー源も核融合反応によるものである。これらの反応を制御された状態で行えれば,新しいエネルギー源として非常に有用である。特に前記の (1) と (2) の反応は重水素だけから起るもので,重水素は水素中約 0.015%の割合で天然に存在し,海水中に含まれる量は無尽蔵である。1反応あたりの放出エネルギー核分裂の場合よりはるかに小さいが,単位質量あたりの放出エネルギーでは核分裂よりも大きい。制御された状態で核融合反応を起させるには,高温プラズマを磁場により制御し,温度1億K 程度に一定時間保持する熱原子核反応による方法が最も有望と考えられている。

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知恵蔵の解説

核融合

2つの軽い原子核が合体して、より重い原子核を作る反応。例えば、水素(H)原子同士が核融合すればヘリウム(He)になる。原子核(陽子と中性子)同士を合体させるには、陽子間に働く電気的反発力(クーロン力)に打ち勝つためのエネルギーがいる。高温・高圧の環境を作り出さねばならないが、通常の水素同士では必要とする温度が非常に高い。そこで比較的低温でよい重水素(D)と三重水素(T)を融合させるD-T反応が用いられる。それでも1億度以上に加熱することが条件。1gのD-T燃料が完全に融合すれば石油8tの燃焼に相当するため、発電用の核融合炉が期待されている。三重水素は自然界に存在しないため、リチウム(Li)に中性子を当てて作る必要がある。D-T反応よりやや必要温度が高いが、海水中に豊富にある重水素だけを使うD-D反応という選択肢もある。高温下では、重水素や三重水素は原子核と電子がばらばらになったプラズマ状態になっている。これを閉じ込めておく手法の違いによって、核融合炉にはいくつかの型がある。「クリーンな夢の原子炉」ともいわれるが、大量の中性子が発生して炉の構造材などを放射化するため、放射性廃棄物をゼロにはできない。

(渥美好司 朝日新聞記者 / 2008年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

核融合

通常は電子と共存していて、融合しない原子核同士を超高温、高圧状態にして無理やりくっつけて別の原子核に変える。その時に膨大なエネルギーが生まれる。物質を作る原子核と電子がバラバラになった状態(プラズマ)を作り、原子核が激しく動き回るよう、プラズマを高温にする必要がある。

(2017-03-07 朝日新聞 朝刊 3社会)

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デジタル大辞泉の解説

かく‐ゆうごう〔‐ユウガフ〕【核融合】

水素などの軽い原子核どうしが高温・高圧・高密度のプラズマ状態で融合し、ヘリウムなどのより重い原子核になる現象。この際に中性子などとともに大きなエネルギーを放出する。高温・高圧・高密度のプラズマ状態で生じる場合は特に熱核融合といい、水素爆弾や太陽など恒星のエネルギーはこれによる。原子核融合
生物学で、受精の際に精子の核と卵子の核とが合体すること。

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百科事典マイペディアの解説

核融合【かくゆうごう】

原子核融合とも。軽い数個の原子核が一つになって別種の原子核を作ること。原子番号28ぐらいまでは,核子1個当りの結合エネルギーが軽い原子核ほど小さいので,原子核融合により余分のエネルギーが放出される可能性がある。
→関連項目IEA核反応核融合科学研究所強化原爆原子核原子力重陽子太陽熱核反応ピンチ効果

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世界大百科事典 第2版の解説

かくゆうごう【核融合 nuclear fusion】

二つ以上の原子核が衝突して核反応を起こし,衝突前よりも原子番号の大きい元素が生ずる現象。原子核融合ともいう。核融合の中には,各種素粒子反応を中間過程に含んで多段的に進行するものもある。この逆の過程が核分裂である。核分裂がウランなどの重い(原子番号の大きい)元素で起きやすいのとは対照的に,核融合は軽い(原子番号の小さい)元素で起きやすい。宇宙に存在する各種の元素は,水素などの軽い元素を親物質として核融合反応によって作られたことが知られている。

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大辞林 第三版の解説

かくゆうごう【核融合】

水素・ヘリウム・リチウムなどの軽い原子核間の反応でより重い原子核になること。その際、大きなエネルギーを放出する。恒星のエネルギー源であり、水素爆弾は水素の同位体を用いて瞬間的な核融合反応を起こさせるもの。融合反応。原子核融合。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

核融合
かくゆうごう

軽い原子核の衝突によって、より重い原子核をつくる原子核反応のことを核融合反応、あるいは単に核融合という。軽い原子核、すなわち質量数の小さな原子核には、陽子1個からなる質量数1の水素(H)、陽子と中性子1個ずつからなる質量数2のジュウテリウム(重水素ともいう。Dまたは2Hで表す)、陽子1個と中性子2個からなる質量数3のトリチウム(三重水素ともいう。Tまたは3Hで表す)、陽子と中性子2個ずつからなる質量数4のヘリウム(4He)などがある。ウランなどの重い原子核が分裂して、より軽い原子核をつくる原子核反応である核分裂と同じく、核融合でも大きなエネルギーが放出される。太陽のように輝いている恒星のエネルギーは、内部でおこっている核融合によるものである。核融合反応を制御してエネルギー源として利用することは、まだ実現されていないため、一般に原子力、原子力エネルギーという場合、核分裂によるエネルギーをさすことが多いが、本来は核分裂だけではなく、核融合も含めた原子核反応によって放出されるエネルギーを核エネルギー、原子力エネルギー、原子力などという。[加藤幾芳]

核融合エネルギー

核融合や核分裂など原子核反応に伴って放出されるエネルギーは、燃焼などの化学反応に伴うエネルギーと比較するとおよそ100万倍で、化学反応によるエネルギーがeV(電子ボルト)の単位で測られるのに対し、原子核反応によるエネルギーはMeV(メガ電子ボルト。M=メガは100万倍を意味する)の単位で測られる。原子核反応で放出されるエネルギーの大きさは、反応前の原子核を構成している核子(陽子、中性子)の結合エネルギーと、反応後の原子核の核子の結合エネルギーとの差で決まる。原子核の核子あたりの結合エネルギーは、図Aのように、鉄(Fe)やニッケル(Ni)など中程度の質量数の原子核では大きく、水素(H)など質量数の小さな原子核や、ウラン(U)など質量数の大きな原子核では小さい。結合エネルギーの小さな原子核から結合エネルギーの大きな安定な原子核をつくる核融合や核分裂の原子核反応によって、結合エネルギーの差に伴うエネルギーが放出され、MeVの大きさになるのである。また、ウランなど重い原子核の核分裂に比べ、水素やヘリウムなど非常に軽い原子核の核融合が、より大きな1核子当りのエネルギーを放出することも、図Aから明らかである。
 核融合反応は、加速器などを用いて原子核どうしを衝突させることでも実現できるが、それはわずかな量の原子核の核融合であり、エネルギー源としては適当でない。燃料として利用できるように物質を核融合させるには、まず、電気的に中性の原子から電子をはぎ取り、プラスの電荷をもつ原子核だけの状態がつくられなければならない。これをイオン化といい、イオン化した原子核のガス状態をプラズマという。恒星の内部では、重力によってつくられる高温・高圧のもとで、原子どうしの衝突によって電子がはぎ取られた原子核だけのプラズマ状態が自然につくられているが、エネルギー源としての核融合を地上で実現するためには、人工的に高温・高圧のプラズマを安定に長時間つくらなければならない。また、プラズマ状態にある原子核どうしには、衝突する時に電気的な反発を生むクーロン力(電荷と電荷の間の電気力)が働く。この反発するクーロン力のもとで核融合反応をおこすには、反発力を超えるような大きなエネルギーで原子核どうしを衝突させる必要がある。そのためには、できるだけ高温のプラズマ状態をつくり閉じ込めておかなければならない。たとえば、太陽の中心は2400億気圧、1600万K(ケルビン)のプラズマ状態となっていて、ゆっくりと核融合反応が進行している。このように高温・高圧状態のプラズマによる核融合反応を熱核反応という。
 地上で高温・高圧のプラズマ状態を瞬間的につくり、わずかな時間の間に核融合をおこさせるのが水素爆弾などの核融合爆弾である。この場合は、ウランなどを用いた核分裂によって高温・高圧の状態をつくり、周りに配置したジュウテリウムやトリチウムなどの原子核を核融合させ、核分裂よりもいっそう大きなエネルギーを発生させるのである。[加藤幾芳]

核融合エネルギーの利用

核融合反応にはさまざまなものがあるが、将来、利用可能な反応は次の二つの反応である。nは中性子(ニュートロン)、pは陽子(プロトン)を表す。3Heはヘリウムの同位元素ヘリウム3である。
(1) D+D→3He+n+3.27MeV
     →3H+p+4.03MeV
(2) D+T→4He+n+17.58MeV
 (1)をDD反応、(2)をDT反応とよぶ。DD反応のほうが、ジュウテリウムを海水から得ることができるなど資源的に優れているが、核融合をおこさせる高温・高圧のプラズマの条件を実現しやすいDT反応の利用が考えられている。核融合によるエネルギーの利用は、有害な核分裂生成物を生成しないことや燃料となる水素や重水素が海水に含まれておりほとんど無尽蔵であることから、魅力ある未来のエネルギー源として期待されている。[加藤幾芳]

太陽内部の核融合反応

恒星の内部で生じている核融合反応についても、星の大きさや質量によってさまざまな反応がおこっている。たとえば、太陽の場合、大部分が水素であり、ppチェイン(ppチェーン、pp連鎖反応とも)とよばれる次の連鎖反応がおこっている。

 上の表において、γ(ガンマ)はγ線、e+は陽電子、e-は電子、ν(ニュー)はニュートリノである。また、放出エネルギーでの2倍の因子は2回反応がおこることを示している。
 つまり、2個の陽子(p)が衝突してジュウテリウム(D)の原子核をつくり、これに陽子が衝突してヘリウムの同位元素であるヘリウム3(3He)になり、ヘリウム3の原子核どうしが衝突してヘリウム4(4He)の原子核となる。結局、4個の陽子で1個のヘリウムをつくる核反応がおこっている。この過程で多量のエネルギーが発生し、γ線が放射され、ニュートリノ(ν)が放出される。この連鎖反応を模式的に表すと、図Bのようになる。なお、それぞれの反応平均時間は、温度1300万Kでは、(1)が140億年、(2)が10-19秒、(3)が5.7秒、(4)が100万年である。実際、太陽は最初の反応がゆっくり進行するため、水素が燃えつきるまであと63億年は燃え続ける。しかし、1秒当りおよそ3.6×1036個の水素が核融合し、膨大なエネルギー(3.8×1026J)が放出されている。[加藤幾芳]

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世界大百科事典内の核融合の言及

【核反応】より

…この種の反応は非弾性散乱などとともに核構造を調べるのにきわめて有力な手段になっている。また原子力で主要な役割を演ずる核反応,すなわち核分裂と核融合も,別種の組替えである。核分裂は,例えば,ウランの原子核が入射中性子を吸収して,ほぼ同じ大きさの二つの原子核に分裂する反応である。…

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