上世の律における五刑の一つ。斬首刑であるが、俗に打ち首ともいう。斬刑は唐律の呼称で、日本律では斬罪という。五刑のうち、死刑には絞(こう)と斬とがあり、絞のほうが斬よりも一等軽いとされたが、これは、中国で五体が満足で葬られないと魂が戻ってこないと考えたことに由来する。鎌倉・室町幕府法でも斬刑はあった。江戸時代でも斬刑が死刑の普通の形式であったが、幕府法上、斬罪の語は士分にだけ用いられた。庶民については、下手人(げしゅにん)と死罪との2種の斬首刑があった。1882年(明治15)に施行された旧刑法のボアソナード原案においては、死刑は斬刑であったが、公布法典では修正されて絞刑となっている。
[石井良助]
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