新幹線騒音(読み)しんかんせんそうおん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新幹線騒音」の意味・わかりやすい解説

新幹線騒音
しんかんせんそうおん

時速 250kmに達する JR新幹線を発生源とする騒音振動家屋の密集する市街地や住宅地を通過する場合,深刻な被害を生じる場合がある。時速 200kmで1日上下合せて 226本の列車が通過して,騒音は大部分が中央値平均で,騒音が 80ホンをこえ,振動も毎秒 0.5mm~2mmに達するという名古屋市の沿線住民は,精神的にも肉体的にも被害を受けているとして,(1) 午前7時~午後9時の騒音 65ホン,振動毎秒 0.6mm以上,夜間 55ホン,0.3mm以上の騒音,振動の侵入を禁じ,(2) 慰謝料 100万円を支払えという内容の訴訟を起したが,1980年名古屋地方裁判所は,一部の損害賠償を除き原告の請求を却下,原告側は控訴した。その後 86年に発生源対策の一層の推進などを内容とする和解が成立して訴訟が解決された。新幹線の環境基準は 75年7月に告示され,(1) 住居の用に供される地域 (類型I) で 75ホン以下,(2) その他の地域で環境保全の必要な地域 75ホン以下となっているが,達成目標期間は,既設区間では3~10年とかなり長期を見込んだ。 76年3月には環境庁長官から運輸大臣に対して「環境保全上緊急を要する新幹線鉄道振動対策について」という勧告が出された。 JRでは環境基準と勧告に基づき「新幹線鉄道騒音・振動障害防止対策処理要網」を定めて対策を進めている。

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