却下(読み)きゃっか

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

却下
きゃっか

一般的には国家機関に対する申立てあるいは申請自体を排斥する処分をいう。

 民事訴訟法上は、当事者の請求、不服申立ての当否に立ち入らないで(これに立ち入って中身を判断し、理由がないとして排斥する場合には棄却という)、事件を終結させること。訴状の形式に不備があるとして、これを受理せず返還する趣旨の訴状却下命令(137条2項)、訴えまたは上訴が訴訟要件または上訴要件を欠き不適法として排斥する訴え却下、あるいは上訴却下の判決などはその例である。

 刑事訴訟法上は、訴訟手続の進行に関する申立てを排斥する裁判をいう。たとえば忌避の申立ての却下(24条)、勾留(こうりゅう)理由開示請求の却下(86条)など。

[本間義信]

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百科事典マイペディアの解説

却下【きゃっか】

1.民事訴訟では,訴訟要件(訴えの利益など)または上訴の要件を具備しないために形式的に不適法として,いわゆる門前払いをする裁判をいう。訴え下とも。2.刑事訴訟では,訴訟上の申立てを理由なしまたは不適法として排斥する裁判をいう。→棄却
→関連項目判決主文

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精選版 日本国語大辞典の解説

きゃっ‐か キャク‥【却下】

〘名〙
① 国家機関に対する行政上または訴訟法上の申立てまたは申請をしりぞける処分。とくに民事訴訟では、裁判所が当事者その他の関係人の訴訟上の申立てを、形式的な面で不適法としてしりぞける裁判をいい、申立ての内容について理由なしとしてしりぞける場合の「棄却(ききゃく)」と区別する。〔仏和法律字彙(1886)〕
※刑事訴訟法(明治二三年)(1890)一八七条「裁判所に於て前条の申立を却下したるときは」
② 一般に、他人の意見を無条件にしりぞけること。
※当世商人気質(1886)〈饗庭篁村〉四「いづれも母親が同類(ぐる)になって内外よりの強願を頑然として却下すれば」

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デジタル大辞泉の解説

きゃっ‐か〔キヤク‐〕【却下】

[名](スル)
願い出などを退けること。「願書を却下する」
裁判所・官庁などの国家機関が、訴訟上の申し立てや申請などを取り上げないで排斥すること。民事訴訟では、訴えの内容を審理しないで不適法として門前払いすることをいい、棄却と区別される。「保釈請求を却下する」→棄却

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世界大百科事典内の却下の言及

【訴訟要件】より

…刑事訴訟法は,訴訟条件にあたる事由を掲げた条文を列挙したが(329条,337条),民事訴訟法は,訴えが不適法で,それが是正できない場合として一括する条文をおいた(140条)。 民事訴訟では,訴訟要件が欠如するときは訴え却下の判決をする。この訴え却下の判決は,訴訟判決とよばれ,訴えの内容となっている権利関係については,その存否についてはまったく触れない。…

【判決】より

…本案判決とは,請求の当否について行われる判決で,請求を正当と認める判決を,請求認容判決,請求を不当として退ける判決を,請求棄却判決という。訴訟判決は,訴訟要件が欠けている場合に,原告の訴えを不適法として却下する判決である(訴え却下判決ともいう)。請求認容判決は,その認容した請求の種類によって,確認判決,給付判決,形成判決に分かれる(確認訴訟給付訴訟形成訴訟)。…

※「却下」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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