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宇宙速度 うちゅうそくどspace velocity

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

宇宙速度
うちゅうそくど
space velocity

ロケットなどの高速で飛ぶ飛行体の運動軌道が変わる限界速度として,地球表面で与えなければならない最小速度。第一,第二,第三宇宙速度の 3種類があり,また地球以外の天体に関する宇宙速度も考えられる。山頂から水平に発射される物体の速度をしだいに増していくと,地表への落下点がしだいに遠くなり,ついに物体は地表に落下しないで地球表面に沿って円軌道を描く。このときの初速 V1を第一宇宙速度,円軌道速度または円速度といい,地球の人工衛星となるための最小の発射速度である。地球の質量 m ,半径 r万有引力定数 G ,地表での重力加速度 g を用いると, である。初速がさらに増すと衛星軌道は楕円になり,初速の増大とともに遠地点が遠ざかって,ついに遠地点を無限遠にもつ放物線軌道を描くようになり,飛行体は地球の引力圏外に脱出する。このときの初速 V2を第二宇宙速度,脱出速度,または放物線速度といい,その大きさは である。初速が V2をこえた飛行体は,地球に対しては双曲線軌道を描いてその引力圏を脱するが,太陽の引力圏内では地球と同様に太陽に関して楕円軌道を描く人工惑星となる。他の惑星に向かって打ち出される探査ロケットはこのようなものである。初速がさらに増大すると飛行体は太陽の引力圏をも脱して宇宙空間へ飛び去る。このときの初速 V3を第三宇宙速度または太陽系脱出速度といい,V3=16.7km/s である。以上は地表における宇宙速度であるが,地表からの高度 h の高空での宇宙速度 U1U2は地表での値より小さく,地球の半径を r とすると
となる。 U1V1U2V2 であるが,地表から高度 h の点までロケットを上げるのにエネルギーを要するから,地表での初速はかえって大きくなる。また地球の自転を考慮すると,発射が自転の向きならば,自転による回転速度(赤道で 0.45km/s)が初速に加わり,逆向きならば初速から差し引かれるので,宇宙速度は発射の向きによって違う。地球の公転軌道上における太陽系からの脱出速度である第三宇宙速度については,地球の公転速度が考慮される。太陽の質量を M ,公転軌道の半径を R とすれば,公転速度は ,太陽系からの脱出速度は であるが,公転速度を利用すれば,必要な脱出速度は地球の引力圏の出口で (42.1-29.8)km/s=12.3km/s となる。この速度を引力圏の出口で残すために必要な,地表での最小の発射速度が前述の V3の値である。

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デジタル大辞泉の解説

うちゅう‐そくど〔ウチウ‐〕【宇宙速度】

地表から打ち上げられた物体を宇宙空間に飛び出させるのに必要な初速度。地球の人工衛星となる速度。地表に対して秒速7.9キロ。第一宇宙速度。円速度。
地球の引力を振り切って太陽系の人工惑星となるために必要な速度。地表に対して秒速11.18キロ。第二宇宙速度。地球引力圏の脱出速度。
物体が太陽系を脱出するのに必要な速度。地球の公転速度に乗ったとして秒速16.65キロ。第三宇宙速度。

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百科事典マイペディアの解説

宇宙速度【うちゅうそくど】

人工衛星,宇宙船などの飛行状態を決定する速度。第一宇宙速度第二宇宙速度,第三宇宙速度の3種がある。第一宇宙速度は,円軌道速度ともいい,地球から水平方向に打ち出した物体が人工衛星となるための最小速度で,地表から打ち出す場合は毎秒7.92km,地上100kmの高度では7.86kmになる。
→関連項目人工衛星人工天体脱出速度

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世界大百科事典 第2版の解説

うちゅうそくど【宇宙速度 astronautical velocity】

人工衛星,宇宙船などが宇宙空間を運動するに際してはいくつかの特徴的な速度がある。これを総称して宇宙速度という。第一宇宙速度,第二宇宙速度,第三宇宙速度の3種があるが,これはソ連系の用語でふつうは以下に述べるように円軌道速度,脱出速度と呼ばれる。(1)円軌道速度circular velocity いわゆる第一宇宙速度。物体にある高度である速度を水平に与えると,地球の重力と遠心力とがつり合って物体は地球のまわりを円を描いて周回する,すなわち人工衛星になる。

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大辞林 第三版の解説

うちゅうそくど【宇宙速度】

(第一宇宙速度)地表に近い円軌道になるために必要な速度。地表では毎秒7.9キロメートル。衛星速度。円軌道速度。
(第二宇宙速度)地表に近い近地点をもつ放物線軌道になるために必要な速度。地球からの脱出速度ともいわれる。毎秒11.2キロメートル。
(第三宇宙速度)太陽系から脱出するための速度。毎秒16.7キロメートル。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

宇宙速度
うちゅうそくど
space velocity

宇宙飛行を特徴づける、ある基準を示した速度で、次の3種類がある。
(1)第一宇宙速度は、飛行体を人工衛星にするための最小速度であって、空気はないものとし、地面すれすれに周回飛行する人工衛星の速さに等しい。秒速7.9キロメートル。
(2)第二宇宙速度は、地球の引力を脱してしまうのに必要な最小の速度であって、地表では秒速11.2キロメートル。高度が増せば当然これより減ってくる。第二宇宙速度で飛び出すと、飛行経路は放物線となるので、これを放物線速度とも、あるいは地球脱出速度ともいう。飛行体を人工惑星とするには、その物体にこれ以上の速さを与えなければならない。太陽系の惑星の表面での脱出速度(秒速)を例示すると、月では2.4キロメートル、火星では5.1キロメートル、金星では10.7キロメートル、木星では61.5キロメートル、太陽では618キロメートルなどである。太陽からの脱出速度は地球の公転軌道上では秒速42.2キロメートルまで落ちる。なお地球から月まで行くには、脱出速度にきわめて近い秒速約11.0キロメートルが必要である。第二宇宙速度より大きな速さで地表を飛び出した物体の地球に対する経路は双曲線になる。
(3)第三宇宙速度は、太陽の引力を振り切って太陽系の外へ脱出するのに必要な最小の速度であって、秒速16.7キロメートル。ただし、この速度の方向には条件があり、地球引力を脱出したときに、その速度の向きがちょうど地球公転の向きと一致するようになっていなければならない。そうすると、地球公転の速さとうまく合成されて、太陽系からの前述の脱出速度になる。[新羅一郎・久保園晃]

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