改訂新版 世界大百科事典 「新穂遺跡」の意味・わかりやすい解説
新穂遺跡 (にいぼいせき)
新潟県佐渡市にあって,国中平野の東端に位置する弥生時代後期の玉製作所跡。遺跡は小谷地,桂林,平田,城ノ畠の各所にちらばっており,それらを総称して新穂玉作遺跡と呼んでいる。その広がりは約4万m2にもおよぶといわれる。これまでの発掘調査では,玉作りに関した工房などの遺構は不明であるが,特に管玉(くだたま)およびその製作途中の未製品が,工具である砥石,石鋸,石針などを伴って豊富に出土したことから,その製作工程が復元可能となった。管玉の原石には,主として赤い鉄石英や緑の碧玉を用いており,他に角玉も作られている。また玉髄やメノウで作った細型管玉もある。これらの製作工程は,(1)原石に打撃を加えて打割材を作る。(2)それに石鋸で溝を彫り細分割する。(3)その原材の側面を研磨して整形する。(4)穿孔して完成させる,という独特の手法がとられている。これは,出雲玉作りが研磨前に穿孔しているのと違い,特に新穂技法と名づけており,佐渡を中心とした弥生時代の玉作りを特色づけている。
→玉(たま)
執筆者:工楽 善通
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報