改訂新版 世界大百科事典 「日本創作版画協会」の意味・わかりやすい解説
日本創作版画協会 (にほんそうさくはんがきょうかい)
1918年山本鼎,織田一磨,戸張孤雁,寺崎武男らによって結成された美術団体。従来,浮世絵の制作は画師と彫師と摺師の分業が通常であり,明治になっても小林清親,橋口五葉らはその方法に従ったが,明治末からすべての工程を一人の作家が行う,いわゆる創作版画がつくられるようになった。ことに1907年石井柏亭,森田恒友,山本鼎が創刊した雑誌《方寸》は創作版画制作の風を大いに助長した。日本創作版画協会は結成の翌年の第1回展から28年までに8回の展覧会を開き,31年に洋風版画会を合わせて日本版画協会に改まった。創作版画協会の会員として活躍した作家には,上記のほか石井鶴三,永瀬義郎,恩地孝四郎,前川千帆,平塚運一,川上澄生,川西英らがいる。また日本版画協会は現在も毎年,公募展を開催し,木版,石版,銅版のほか多様化した方法による作品を展示している。
執筆者:原田 実
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報