精選版 日本国語大辞典 「川上澄生」の意味・読み・例文・類語
かわかみ‐すみお【川上澄生】
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版画家。横浜市に生まれる。1916年青山学院高等科を卒業。17-18年,カナダ,アメリカに滞在,各地で働き,かつ放浪する。帰国後,21年より栃木県立宇都宮中学で英語を教えるかたわら,木版画を始め,26年国画創作協会展出品の《初夏の風》,27年出版の小型絵入本《青髯》によってロマンティックな作風が注目された。その版画制作はあくまで個人的趣味の範疇(はんちゆう)にあり,素人版画家を自任していた。それだけに生来孤独な精神の放浪者,夢想家として気ままに自己の世界を作品に投影し,《絵の上の静物》(1927),《蛮船入津》(1953)など初期から晩年まで,文明開化趣味,南蛮趣味を盛った独得の耽美的モダニズムの版画を制作した。《ゑげれすいろは》(1927),《じゃがたらぶみ》(1941)も同傾向の,自画自刻自摺の小型絵入本で,いわゆる豆本の先駆けとなった。昭和初期の作風は棟方志功らに影響を与えた。
執筆者:藤井 久栄
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版画家。横浜市生まれ。1916年(大正5)青山学院高等科を卒業し、翌年から1年余りカナダ、アラスカ、アメリカへ放浪の旅をする。21年から栃木県立宇都宮中学校の英語教師となり、このころから木版画家として活動を始めた。27年(昭和2)日本創作版画協会の会員となり、また国画会展にも出品し、42年には同会の会員となる。文明開化調や南蛮異国趣味に独特の作風を示した。49年(昭和24)第1回栃木県文化功労賞を受賞。また昭和初めから『青髯(あおひげ)』『えげれすいろは』ほか小形木版本を多数刊行した。
[小倉忠夫]
『『川上澄生全集』全14巻(中公文庫)』
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