日本歴史地名大系 「日本北辺関係旧記目録」の解説
日本北辺関係旧記目録
にほんほくへんかんけいきゆうきもくろく
一冊 北海道大学附属図書館編 北海道大学図書刊行会 平成二年刊
解説 北海道大学附属図書館北方資料室には、北海道・カラフト・千島諸島を含む日本北辺に関する各種の資料が一括して保管されている。それらのうち江戸時代から明治初年にかけての蝦夷地関係の旧記(写本や版本など)は、同時代の他地域の歴史・地理資料と比べると大きな特徴がある。それらの旧記には蝦夷島の先住民であったアイヌの風俗・習慣・生活などの記録が数多く含まれているばかりでなく、北方より南下するロシアとの接触から日露の関係に触れた文書や記録類も少なくない。近世には松前藩がおかれていたが、一八世紀末以来幕府は二度にわたって蝦夷地を直轄し、そのいずれの時期にも蝦夷地の警備や経営は東北諸藩に委ねられた。明治初年には全国の諸藩による分領開拓さえ行われたのである。それゆえ北辺の旧記資料は、単なる日本の辺境に関する地域資料にとどまらず、日本列島の歴史における特異な分野の史料となっている。さらに以上のような資料は、それらの地方へ出張した人々によって作成されたものが多いために、全国に分散して忘却されているものも少なくない。北方資料室では多くの図書館や研究者たちの協力を得て、複写物の入手によって従来欠如していた北辺資料の充実に努めてきた。それらの北辺関係旧記類を平成二年段階で編集したのが本書である。約三千五〇〇点の旧記類が独自の分類によって配列されているが、各資料の記載は索引番号・書名・著編者・成立年・写本版本の別・丁数・サイズ・資料注記・内容説明・請求記号の順である。旧記類の内容は書名から判断できない場合が多いので、簡単な内容説明が付せられているのがこの目録の特長である。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報