日米漁業協定(読み)にちべいぎょぎょうきょうてい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「日米漁業協定」の意味・わかりやすい解説

日米漁業協定
にちべいぎょぎょうきょうてい

アメリカが1976年の漁業保存管理法によって200海里漁業水域を設定した(1977年実施)ことに伴って、77年(昭和52)に締結された「アメリカ合衆国の地先沖合における漁業に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」(正式名称)をいう。この協定によって、両国は、協定の実施に関し定期に協議を行い、アメリカ政府がアメリカの200海里水域内の対日漁獲割当て量を決定し、日本政府に通告することとされ、また、アメリカ政府は、日本政府から出される申請に対し、許可証の発給入漁料(許可料、漁獲料、課徴金)の支払請求など必要な行政手続をとることとされていた。実際において、漁獲量は大西洋海域をはじめとして減少の傾向があり、入漁料も増額され、1981年のアメリカの漁業促進法(ブロー法)の施行以後その傾向が著しかった。1990年(平成2)には、合弁枠(洋上買魚)実績さえゼロとなり、この協定は、91年末に失効した。しかし、日米共通の漁業問題はあり、漁業研究、海洋資源、漁業取締り等に関する協力と意見交換のため、92年1月日米漁業協議委員会を発足させた。

[水上千之]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日米漁業協定」の意味・わかりやすい解説

日米漁業協定
にちべいぎょぎょうきょうてい

アメリカの漁業保存管理法に基づいて,同国の 200カイリ水域内の日本の漁船操業に関して日米間で 1977年に締結した協定。 82年に期間満了に伴う再締結がなされた。各漁業資源の総漁獲可能量の設定と,日本への割当量の決定,入漁料の支払いなどを規定している。特に日本への割当量は 85年以降急減し,88年には日本の調査捕鯨の実施に対する制裁措置によってゼロとなった。また,アメリカの 200カイリ水域を主漁場としてきた日本の母船式サケ・マス漁業も,88年には禁止された。このため協定は失効,代わって定期的な意見交換の場として日米漁業協議委員会が 92年に発足した。

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世界大百科事典(旧版)内の日米漁業協定の言及

【国際漁業】より

… 以下,各国別に日本と諸外国の漁業関係について述べる。
[アメリカ]
 200カイリ法の発効(1977年3月1日)に伴い,アメリカの同水域における日本漁船の操業のための日米漁業協定が1977年11月に締結された。しかし,アメリカの漁業関係者の一部が200カイリ水域で操業する外国のなかに水産物の輸入規制を行っている国があると非難したため,78年各国の輸入規制の現状を大統領に報告することが法改正により義務づけられた。…

※「日米漁業協定」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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