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調査捕鯨 ちょうさほげいresearch whaling

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

調査捕鯨
ちょうさほげい
research whaling

クジラ資源の調査を目的に南氷洋で行なわれている捕鯨活動。日本の南氷洋母船式捕鯨は 1987年3月から,沿岸捕鯨は 1988年3月から,国際捕鯨委員会 IWCの捕鯨全面禁止により中止されている。しかし,日本は国際捕鯨取締条約により,科学的調査を名目に調査捕鯨に着手,1988年から南極海域で毎年 300頭のミンククジラ (コイワシクジラ ) を捕獲している。これに対し,事実上の商業捕鯨であるとの声も各国からあがっている。一方,エスキモーなどによる小規模の捕鯨は,伝統的で生存のための捕鯨として例外扱いが認められている。日本は国内の沿岸小型捕鯨にも同様の背景があると 1990年の IWC総会で主張したが否決された。

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知恵蔵の解説

調査捕鯨

クジラの生態や資源量などの科学的調査を目的とする捕鯨。日本では、農林水産省所管の特例財団法人日本鯨類研究所が政府の特別許可を受けて、1987年から南極海で、94年からは北西大西洋でも実施している。調査対象は、南極海のクロミンククジラナガスクジラザトウクジラ、北西太平洋のミンククジラ、イワシクジラ、ニタリクジラマッコウクジラの計7種だが、ザトウクジラは2005-06年調査以降捕獲されていない。調査の副産物である鯨肉は国内で販売され、次の調査費用に充当される。11年2月には、反捕鯨団体シーシェパードによる妨害活動によって、南極海での調査が打ち切りに追い込まれた。
捕鯨の賛否を巡っては、クジラを「利用できる水産資源」ではなく「保護すべき野生動物」だと考える立場もあるなど、近年、対立が深刻化している。大型鯨類13種を対象に管理措置決定する国際捕鯨委員会(IWC)は、1970年代に欧米で高まったクジラ保護論の影響を受け、82年に商業捕鯨を一時停止する商業捕鯨モラトリアムを採択、97年には南極海サンクチュアリ(鯨類保護区)を設定するなど、制限を強めてきた。これに対して、捕鯨国のノルウェーアイスランドは国際捕鯨取締条約に基づく異議申し立てをして商業捕鯨を続け、日本は87年に商業捕鯨から条約で認められている調査捕鯨に切り替えて捕鯨を続けている。捕鯨国・反捕鯨国の間の妥協点を探るべく、2010年のIWCの総会では、日本の調査捕鯨における南極海での捕獲枠を大幅に削減する一方、沿岸での商業捕鯨再開を事実上認める内容を盛り込んだ議長案が示されたが、合意には至らなかった。
こうした中で起きた調査打ち切りを受けて、国内には、暴力行為に屈せずに調査を続行すべきだとする意見や、鯨肉の消費減少などを理由に捕鯨政策の見直しに言及する声も出ている。

(原田英美  ライター / 2011年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

調査捕鯨

国から許可と補助金を受けて、日本鯨類研究所が資源の増減傾向などを探る目的で1987年から実施している捕鯨。サイズや重さを測定したり、耳あかや胃の内容物などを採集して分析する。鯨肉はあくまで「調査の副産物」として販売、国内で流通する。韓国は捕鯨をしておらず、漁網にかかって混獲されたクジラが国内で流通している。ただ、密漁も横行、日本への鯨肉の密輸も過去に摘発されている。

(2010-04-14 朝日新聞 夕刊 1社会)

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デジタル大辞泉の解説

ちょうさ‐ほげい〔テウサ‐〕【調査捕鯨】

鯨の生態や資源量を科学的に調査する目的で行う捕鯨。日本では、昭和62年(1987)から財団法人日本鯨類研究所が政府から許可を受け、南極海と北西大西洋で行う。捕獲対象はミンククジラニタリクジラマッコウクジライワシクジラナガスクジラの5種。科学調査で使用した残りの部分は可能な限り加工され、販売される。日本の調査捕鯨船団に対する反捕鯨団体の妨害活動が頻発している。
[補説]日本は昭和63年(1988)以来、国際捕鯨委員会(IWC)に対して調査捕鯨以外に沿岸捕鯨でのミンククジラ50~150頭の暫定捕獲枠を要求しているが、認められていない。平成21年(2009)以降、IWCは調査捕鯨の縮小・停止などを条件に、日本でのミンククジラを含む沿岸捕鯨を容認する議長提案を発表している。

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大辞林 第三版の解説

ちょうさほげい【調査捕鯨】

商業用ではなく、生息数・分布状態などを調査し科学的研究に役立てるための捕鯨。

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知恵蔵miniの解説

調査捕鯨

生息数などを調査するための捕鯨。1982年、国際捕鯨委員会の決議により商業捕鯨の一時停止が決められ、他諸国が捕鯨を停止したのに対し、日本だけが87年より南極海と北西太平洋で調査捕鯨を開始した。以降2005年まで捕獲枠を徐々に拡大し、年間1000頭程度のクジラを捕獲している。12年時点で、日本市場に供給されたクジラ肉は推計5028トン。うち半分以上が調査捕鯨によるものとされている。10年、オーストラリアなどの反捕鯨国が「調査捕鯨の名を借りた商業捕鯨である」として国際司法裁判所に調査捕鯨の中止を提訴。14年3月31日、国際司法裁判所は、日本が南極海で行っている調査捕鯨について、現状方式での捕鯨を中止するよう命じる判決を下した。日本はこれに従い、今後の調査捕鯨のあり方について検討していく方針。

(2014-4-3)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

調査捕鯨
ちょうさほげい

国際捕鯨取締条約第8条に基づく鯨類の捕獲調査のこと。国際捕鯨取締条約は、捕鯨の取締りと資源管理のために、1946年に締結された。この条約は、条約付表によって捕鯨操業に対して多くの規制を課しているが、本文第8条第1項によって、加盟国政府が自国民による科学的研究のために、条約付表に定めるすべての規制を外して、鯨を捕獲して調査する許可書を発給することを許している。それに加えて条約第8条第2項において、この許可書によって捕獲した鯨体は、調査した後できる限り加工して利用し、その取得金は政府の発給した指令書に従って処分しなければならないことも定めている。これが一般に「調査捕鯨」と称されている。
 調査捕鯨はアメリカを含む多くの加盟国が、種々の目的をもって、種々の鯨類を対象にして実施してきた。1982年における国際捕鯨委員会(IWC)による商業捕鯨の一時中止決定以後も、ノルウェー、アイスランド、韓国が調査捕鯨を実施した。日本は1987年(昭和62)から南極海において、1994年(平成6)からは北西太平洋において、ミンククジラを対象にして調査捕鯨を実施しているが、2000年からは北西太平洋において、ミンククジラのほかに、ニタリクジラとマッコウクジラを調査捕鯨の対象に加えた。[大隅清治]

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世界大百科事典内の調査捕鯨の言及

【捕鯨】より

…しかし日本はアメリカのパックウッド=マグナソン修正法との関係から,1985年4月に異議申立ての撤回を閣議決定した。日本における商業捕鯨は,この決定により,南氷洋捕鯨は87年3月,沿岸捕鯨は88年3月で終止符を打つことになり,以降,日本では南氷洋についてはミンククジラの〈調査捕鯨〉のみが行われている。 なお1980年代初頭のおもな捕鯨国の捕獲頭数は,日本4443頭,ソ連3392頭(169頭),ノルウェー1869頭,ブラジル625頭,韓国485頭,アイスランド448頭,デンマーク286頭(286頭),スペイン120頭,アメリカ20頭(20頭)である(1982/83捕鯨漁期。…

※「調査捕鯨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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