旧文武学校(読み)きゅうぶんぶがっこう

国指定史跡ガイド 「旧文武学校」の解説

きゅうぶんぶがっこう【旧文武学校】


長野県長野市松代町にある学校。藩士子弟学問武芸を奨励するため、真田幸教(さなだゆきのり)が祖父・幸貫(ゆきつら)の遺志を継いで開設したもので、1852年(嘉永5)に着工し、1855年(安政2)に完成した松代藩の藩校である。文学や武術以外に西洋の軍学なども教育するなどきわめて先進的で、儒教を廃したため多くの藩校のように孔子廟(こうしびょう)を設けていないのも特徴である。1868年(明治1)には兵制士官学校を併設し、1871年(明治4)、廃藩置県にともなって閉校した。その後は松代小学校の校舎として利用され、1953年(昭和28)に国の史跡指定を受け、1978年(昭和53)に追加指定が行われた。正面には文学所と役所、御居間があり、前面左右に東序、西序を配して門と番所を設け、その間に剣術所や柔術所、弓術所、槍術所(そうじゅつしょ)を設けている。これらの道場が移築された以外はすべて開設時の位置にあり、藩校の全規模をそのままに伝えるものとして教育史上価値のある遺跡である。1965年(昭和40)8月から3年余り続いた松代地震後は6年がかりで保存修理と整備事業を実施し、1979年(昭和54)から一般公開されている。明治時代に真田家の菩提寺である長国寺庫裏として移築されていた槍術所が、1996年(平成8)に返還・移築され、創建時の状態に復元された。JR長野新幹線ほか長野駅から川中島バス「松代駅」下車、徒歩約7分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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