孔子廟(読み)こうしびょう

日本大百科全書(ニッポニカ)「孔子廟」の解説

孔子廟
こうしびょう

孔子を祀(まつ)った孔廟聖廟文廟聖堂ともいう。孔子の没した翌年の紀元前478年(魯(ろ)の哀公(あいこう)17)哀公が曲阜(きょくふ)闕里(けつり)(山東省)の孔子の旧宅に廟を建て、孔子の冠、琴、車、書などを置き、卒に守らせたのが初めとされる。北魏(ほくぎ)では、漢代に孔子を封(ほう)じて宣尼公(せんにこう)としたことから宣尼廟といった。北朝斉(せい)の時代、郡学の坊内に孔顔廟を建て、唐では高祖が619年(武徳2)国学に、太宗(たいそう)が630年(貞観4)州県に(しょう)して孔子廟を建てさせた。さらに高宗が669年(総章2)天下に詔して各地に設置させた。明(みん)代になり、1410年(永楽8)文廟と改称し、清(しん)代もこれに倣い、民国にはまた孔子廟に改められた。廟の正殿を大成殿といい、孔子、四配(顔回(がんかい)、子思(しし)、曽子(そうし)、孟子(もうし))、十二哲の像を安置し、殿下の露台には杏壇(きょうだん)が設けられている。今日、曲阜のほか中国各地に建造物が遺存し、台湾、日本(東京の湯島聖堂、佐賀の多久聖廟(たくせいびょう)など)では釈奠(せきてん)(孔子を祀る儀式)も行われている。

[田中 有]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「孔子廟」の解説

孔子廟
こうしびょう
Kong-zi-miao

孔子をまつる廟。中国において唐代に州,県に孔子廟をつくるように詔が出て以後全国的に普及し,県城以上の各地の中心的都市にある。時代により聖廟,孔廟,先師廟,宣聖廟その他の名称が用いられたが,明,清代には通俗的に文廟と呼ばれ,中華民国以後に孔子廟と改められた。規模は異なるが,廟の建築には一定の制があり,正殿を大成殿,その門を大成門といい,大成殿の中央に孔子の塑像が安置してある。中国,シャントン (山東) 省チュイフー (曲阜) 県県城の「曲阜孔廟」は孔子の故宅を中心として営まれ,全孔子廟を代表し最も名高い。北宋初期より発達したが金代末期には荒廃し,明代の大火 (1499) で主要建築を焼失し,大成殿など主要な殿門は清代の重建。 1994年孔子一族の邸宅孔府,孔林とともに,世界遺産の文化遺産に登録。朝鮮にもあり,日本では孔子廟,聖堂の名で江戸や各藩で営まれた。

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百科事典マイペディア「孔子廟」の解説

孔子廟【こうしびょう】

文廟,夫子廟,孔廟とも。孔子をまつった廟。孔子が没した翌年(前478年),魯の哀公が孔子の旧居を改築したもので,曲阜(山東省)にある。唐代に全国の州県に建立。後にはその弟子歴代儒者合祀。朝鮮や日本などにも設けられ,東京湯島の聖堂(1690年建設)もその例。曲阜の孔子廟,孔林(孔子の墓)などは1994年世界文化遺産に登録された。

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精選版 日本国語大辞典「孔子廟」の解説

こうし‐びょう ‥ベウ【孔子廟】

〘名〙 孔子をまつるみたまや。孔子の徳を尊んで死の翌年の哀公一七年、哀公によって曲阜闕里(今の山東省)の旧宅に建てられ遺品を蔵したことに始まる。日本では奈良・平安時代に大学、府学、国学に、江戸時代には湯島および各藩に置かれ釈奠(せきてん)を行なった。孔廟。聖廟。文廟。聖堂。〔韓愈‐赴州孔子廟碑〕

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デジタル大辞泉「孔子廟」の解説

こうし‐びょう〔‐ベウ〕【孔子×廟】

孔子の霊をまつるみたまや。孔子の死の翌年に中国山東省曲阜の旧宅に造られたものが初め。日本でも、奈良・平安時代には大学・国学に造られ、江戸時代には江戸湯島など各地に造られた。聖堂。聖廟。孔廟。

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世界大百科事典 第2版「孔子廟」の解説

こうしびょう【孔子廟 Kŏng zǐ miào】

中国,山東省曲阜(きよくふ)にある孔子をまつる大聖堂のこと。文廟,孔廟ともいう。儒教の総本山。孔子が没した翌年(前478),魯の哀公が孔子の旧居を廟に改築し,定期的にまつりをとり行ったのがその始まりといわれる。漢代以降,儒教が国教となり孔子の地位が高まるにしたがい,歴代皇帝の手厚い庇護と崇敬を受け,その規模はいよいよ増大していった。清朝にいたるまで増改築は30余回におよぶ。総面積は約22万m2。建物は南北軸上に左右対称に建てられ,南端の入口を櫺(れい)星門(孔廟大門)といい,その突きあたりが本殿の大成殿である。

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世界大百科事典内の孔子廟の言及

【聖堂】より

…聖堂のうち,司教座(カテドラcathedra)の置かれたものをとくに司教座聖堂または大聖堂と呼び,フランス語でカテドラルcathédrale,イタリア語でドゥオモduomo,ドイツ語でドームDomまたはミュンスターMünsterという。教会教会堂建築(2)日本で,孔子をまつった建物,すなわち孔子廟を聖堂(または聖廟)と呼ぶ。湯島聖堂などがその例。…

※「孔子廟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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