旧林崎文庫(読み)きゅうはやしざきぶんこ

国指定史跡ガイド 「旧林崎文庫」の解説

きゅうはやしざきぶんこ【旧林崎文庫】


三重県伊勢市宇治今在家町にある学問所跡。鼓ヶ岳(つづみがたけ)の東麓、背後が傾斜地の小高い場所に位置し、1686年(貞享3)に宇治会合所の大年寄らが外宮(げくう)の豊宮崎(とよみやざき)文庫にならって創立したもので、翌年に文庫を丸山の地に設けて内宮(ないくう)文庫と称した。次いで1690年(元禄3)に土地が低い丸山から北隣の林崎に移転し、以来、林崎文庫と呼ばれた。この文庫を高名にしているのはその蔵書であり、村井古巌(こがん)の寄贈書をはじめとして諸家の寄付によるものが多く、貴重な書物が残されている。天明年間(1781~89年)と文政年間(1818~30年)に整備拡張され、敷地の改修や建物の修繕が行われたが、明治維新後は廃されて、建物や蔵書は伊勢神宮に献納された。石段を上がって表門を入ると正面左に平屋建ての講堂、右に書庫があり、敷地には1865年(元治2)に建立された柴野栗山(りつざん)の撰文による林崎文庫記の碑、1827年(文政10)に建立された本居宣長(もとおりのりなが)撰文の林崎ふみくらの詞の碑などがある。こうした一連の遺構遺物は往時形態をそのまま留め、教育・学芸史上価値ある遺跡であることから、1954年(昭和29)に国の史跡に指定された。JR参宮線ほか伊勢市駅から三重交通バス「内宮前」下車徒歩約2分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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