改訂新版 世界大百科事典 「普通銀行特殊銀行」の意味・わかりやすい解説
普通銀行・特殊銀行 (ふつうぎんこうとくしゅぎんこう)
普通銀行とは国立銀行の存在していた時代には私立銀行をいい,国立銀行が普通銀行に転換した後は特殊銀行に対して一般の銀行を普通銀行と称した。〈普通銀行〉は慣用語で,一般的な用語となったのは第1次大戦後で,1916年4月大蔵省の組織が改正され,銀行局が独立し,その際,特別銀行課,貯蓄銀行課とともに普通銀行課が設置されたからである。今日,普通銀行とは一般に〈銀行法〉による銀行をいう。特殊銀行は特別法にもとづいて設立され,1897年8月農業金融の中核として日本勧業銀行(府県には農工銀行)が,1900年4月北海道拓殖銀行が,02年4月工業金融の中核として日本興業銀行が営業を開始した。横浜正金銀行は〈国立銀行条例〉に準拠して1879年12月設立が許可され,87年7月〈横浜正金銀行条例〉によって貿易金融の特殊銀行としての性格が明確になった。戦後1946年12月横浜正金銀行は〈銀行法〉による銀行に改組,名称も東京銀行として新発足,54年〈外国為替銀行法〉の施行によって本法による銀行となった(1996年三菱銀行と合併して東京三菱銀行となってからは,外国為替専門銀行ではなくなった)。農工銀行は44年9月までにすべて日本勧業銀行に合併された。50年4月施行の〈日本勧業銀行等を廃止する法律〉によって特殊銀行は廃止され,勧銀,興銀,拓銀は〈銀行法〉による銀行となった。興銀は52年12月〈長期信用銀行法〉施行と同時に本法にもとづく銀行となった。
→銀行
執筆者:後藤 新一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報