貿易金融(読み)ボウエキキンユウ

デジタル大辞泉 「貿易金融」の意味・読み・例文・類語

ぼうえき‐きんゆう【貿易金融】

商品の輸出入取引に必要な資金の融通。輸出金融・輸入金融現地金融に大別できる。

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精選版 日本国語大辞典 「貿易金融」の意味・読み・例文・類語

ぼうえき‐きんゆう【貿易金融】

  1. 〘 名詞 〙 輸出入貿易に伴う必要資金やそれに関連した資金の融通。輸出金融・輸入金融・現地金融に大別される。

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改訂新版 世界大百科事典 「貿易金融」の意味・わかりやすい解説

貿易金融 (ぼうえききんゆう)

外国貿易を行うために必要な資金の融通ないし信用の供与をいう。狭義に解すると,外国為替の売買とこれに直接関連する金融,すなわち輸出の場合は買為替および輸出前貸金融など,輸入の場合はユーザンス金融(〈ユーザンス〉の項参照)をいう。広義には貿易に関連するすべての金融を意味し,現在日本では後者を指す。日本の例で貿易金融を輸出金融と輸入金融に大別して概説する。

(1)輸出金融とは,貨物の輸出に関しその生産・出荷から海外の輸入業者によって輸出代金が支払われるまでに必要な金融で,貨物の船積み前の金融と船積み後の金融に分かれる。船積み前の金融には,輸出契約成立前にこれを見込んで生産・出荷を行う場合に必要となる〈つなぎ金融〉(農水産物の輸出に多い),輸出契約が成立しあるいは信用状が到着している場合の〈輸出前貸金融〉とがあり,後者は日本銀行の輸出前貸関係準商業手形制度の対象となるものと,為替銀行が自己資金で融資するものとに分かれる。輸出の船積み後金融は,為替銀行による荷為替の買取りに伴う金融が中心である。輸出業者は貨物の船積み後船積書類を作成し,一覧払ないし期限付の為替手形を振り出して為替銀行にこれらを呈示する。為替銀行はこれらの書類が満足すべき条件を整えているならば,これを買い取って輸出業者に代金を支払う。この手形が一覧払であれば,それが外国に郵送され支払われるまでの期間,また期限付手形であればそれが引き受けられ期日に支払われるまで,為替銀行は融資を行うことになる。

(2)輸入金融とは,輸入業者が貨物ないしそれを化体する船積書類が到着してから,その貨物が販売され代金が回収されるまでの間の金融をいう。その中心をなすのがいわゆる外貨建ての輸入ユーザンスで,金融を行う主体が輸出業者である場合はシッパーズ・ユーザンス,為替銀行である場合は銀行ユーザンスと呼ばれ,後者にはアクセプタンス方式,本邦ローン方式,B/Cディスカウント方式などがある。またこのユーザンス期間が終了した後も売り先より代金を回収しえない場合,為替銀行は〈はね返り融資〉と通称される円資金の融通を行う。

 以上のような貿易金融のほか,例えば為替銀行による商業信用状や貿易関係の各種保証状の発行,あるいは輸入業者に対する貨物の貸渡し,貨物引取保証なども一種の信用供与であり,広義の貿易金融に含められる。また貿易に関する中・長期金融としては,船舶・設備機材の輸出ないし技術提供について,日本の為替銀行との協調融資方式による日本輸出入銀行の輸出金融がある。このような貿易金融に関しては,為替銀行の資金操作を支援し,そのときどきで輸出促進や輸入拡大を図るため,日本銀行が一般の国内金融に比し,金利・掛目・期間などの点で優遇的な取扱いを行うことがある。これらは広く制度金融と呼ばれ,戦後外国貿易,特に日本の輸出の振興を図る見地から輸出金融に関しては種々の優遇措置が講じられてきた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「貿易金融」の意味・わかりやすい解説

貿易金融
ぼうえききんゆう
trade finance

輸出および輸入などの貿易を行うのに必要な資金の融通、あるいは信用供与をいう。貿易金融には狭義と広義とがあり、前者では為替(かわせ)銀行による輸出手形の買取り(輸出金融)とユーザンス金融(輸入金融)とが代表的である。後者は狭義の貿易金融に付随したすべての金融をさしている。第二次世界大戦前には、貿易金融といえば狭義のそれにほぼ限られていたが、戦後は貿易に関連するすべての金融を意味するほどその内容が拡大されている。

 貿易金融には、取引される商品の仕入れから販売に至る段階に応じ、また貿易の売買契約条件により種々の形態がある。〔1〕シッパーズ・ユーザンス 輸出商が直接に輸入商に信用を与えるもので、国内の掛売り・掛買いに相当する。〔2〕輸出前貸し 輸出商品の生産・集荷から船積み後、輸入商により代金が決済されるまでの間、輸入商あてに振り出された手形を担保として輸出商が銀行から前貸しを受けることをいう。〔3〕買(かい)為替 現在ではもっとも一般的な貿易金融の方法である。輸出商は商品輸出と同時に輸出手形を振り出し、それを為替銀行に買い取ってもらえば、輸入商が代金を決済するまでの期間の金利を控除した代金を為替銀行から入手できる(手形割引に相当)。〔4〕輸入商の銀行による輸入金融 輸入手形の決済のために銀行が資金を融通するのが普通である。これらのほかに、輸入商が輸出商に対し輸入代金の一部を前払いする形の金融もある。

[土屋六郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「貿易金融」の意味・わかりやすい解説

貿易金融
ぼうえききんゆう
forreign trade finance

輸出入を円滑に行うために必要な資金の融資。 (1) 貿易金融の第1は為替の売買に伴う金融であり,輸出為替金融と輸入為替金融とに分れる。前者は銀行が輸出業者の依頼により輸出為替を買取った場合,手形代金の債権が取立てられるまでに相当時間がかかるので,その間銀行が買主の債務を肩代りしていることをいう。一方後者は期限付手形の振出しを許容することによって手形金支払いを猶予し,輸入者に対して金融が行われることをいう。これをユーザンス金融という。 (2) その第2は輸出入者に直接的に行う金融であり,輸出業者に対して行われる輸出前貸金融,さらにそれ以前に行われる生産出荷資金がそれにあたる。一方,輸入手形の決済用資金を融通する輸入決済手形制度,輸入貨物の需要者に対して貨物の引取りのために行われる輸入引取資金金融もこれに属する。

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