最暗黒之東京(読み)さいあんこくのとうきょう

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

最暗黒之東京
さいあんこくのとうきょう

松原岩五郎の著書。1893年(明治26)民友社より刊行。『国民新聞』の記者であった松原が、1892年11月から翌年にかけて同紙上に掲載した東京の貧民窟(くつ)についての探訪記事をまとめたルポルタージュ。松原自身、貧民窟で残飯屋に住み込むなどしながら、住居、食物、衣服、職業、賃金、せり市などを通して貧民の状態を描いた。また貧民相手に跋扈(ばっこ)する周旋屋や高利貸しなどにも触れている。97年までに5版を重ね、また横浜で英訳出版されるなど、社会矛盾を指摘したものとして当時評判になった。横山源之助『日本の下層社会』と並ぶ貧民ルポルタージュの代表作である。[大木基子]
『神郡周校注『最暗黒の東京』(1980・現代思潮社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

いざなぎ景気

1965(昭和40)年11月から70(昭和45)年7月にかけて57カ月続いた戦後最長の消費主導型景気拡大局面のこと。名目成長率は毎年2桁で推移した。これに先立つ1955~56年の「神武景気」や58年~...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android