精選版 日本国語大辞典 「月並み」の意味・読み・例文・類語
つき‐なみ【月並・月次】
- 〘 名詞 〙
- ① 毎月。月ごと。また、月ごとにあること。月に一度ずつあること。
- ② 「つきなみ(月並)の祭」の略。
- [初出の実例]「在二山背国乙訓郡一火雷神、毎レ旱祈レ雨、頻有二徴験一、宜レ入二大幣及月次幣例一」(出典:続日本紀‐太宝二年(702)七月癸酉)
- ③ 月ごとに催される和歌や連歌・俳諧などの会合。つきなみの会。
- [初出の実例]「俄連歌令張行、月次興行、今日先予為当番始之」(出典:看聞御記‐応永二六年(1419)三月晦)
- 「月次に出よとて殊外の芳恩を蒙りき」(出典:随筆・戴恩記(1644頃)下)
- ④ つきやく。月経。
- [初出の実例]「月なみがちらりと有って花あやめ」(出典:雑俳・ぎんかなめ(1729))
- ⑤ 江戸時代、朔日丸(ついたちがん)のような避妊薬のことをいう。
- [初出の実例]「月並の丸薬呑で衣がへ」(出典:俳諧・武玉川(1750‐76)六)
- ⑥ 「つきなみはいく(月並俳句)」の略。
- [初出の実例]「俳句の観を改めたるも月並連に構はず思ふ通りを述べたる結果に外ならず候」(出典:十たび歌よみに与ふる書(1898)〈正岡子規〉)
- ⑦ ( 形動 ) ( ⑥から転じて ) 平凡で新鮮みのないこと。とりたてて変わった点のないこと。常套陳腐なこと。また、そのさまや、そのような物事。
- [初出の実例]「そんな月並を食ひにわざわざここ迄来やしないと仰しゃるんで」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉二)
- 「月並の文句ばかりだ」(出典:無名作家の日記(1918)〈菊池寛〉)
- ⑧ ( 「なみ」に「波」をかけ、歌語として用いられる ) 一二か月の順序。月の次第。月の移りかわり。
- [初出の実例]「水のおもに照る月浪を数ふれば今宵ぞ秋のもなかなりける〈源順〉」(出典:拾遺和歌集(1005‐07頃か)秋・一七一)