有機超伝導体(読み)ユウキチョウデンドウタイ

デジタル大辞泉 「有機超伝導体」の意味・読み・例文・類語

ゆうき‐ちょうでんどうたい〔イウキテウデンダウタイ〕【有機超伝導体】

超伝導を示す有機化合物。低温などの特別な条件の下、電気抵抗が零になる性質を示す。ドナーアクセプターが規則正しく配列した分子性結晶が多い。炭化水素分子の結晶カリウムルビジウムなどのアルカリ金属ドーピングしたものが発見されている。

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化学辞典 第2版 「有機超伝導体」の解説

有機超伝導体
ユウキチョウデンドウタイ
organic superconductor

超伝導性をもつ有機化合物.1980年にD. Jeromeらによって(TMTSF)2PF6が12×108 Pa,0.9 K において超伝導性をもつことが発見されて以来,超伝導性を示すアルカリ金属やアルカリ土類金属イオンを含むフラーレン錯体まで含めると,100種類以上の有機超伝導体が見いだされている.その多くは電子供与体陰イオンとが規則正しく配列した分子性結晶をつくっているので,電荷移動により供与体上にホールを発生し,フェルミ面をもつ金属状態が実現する.この金属状態を臨界温度以下に冷却すると,ホールが対をつくって超伝導性を示す.TMTSFは図のような構造をもつテトラメチルテトラセレナフルバレンである.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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