超伝導性をもつ有機化合物.1980年にD. Jeromeらによって(TMTSF)2PF6が12×108 Pa,0.9 K において超伝導性をもつことが発見されて以来,超伝導性を示すアルカリ金属やアルカリ土類金属のイオンを含むフラーレンの錯体まで含めると,100種類以上の有機超伝導体が見いだされている.その多くは電子供与体と陰イオンとが規則正しく配列した分子性結晶をつくっているので,電荷移動により供与体上にホールを発生し,フェルミ面をもつ金属状態が実現する.この金属状態を臨界温度以下に冷却すると,ホールが対をつくって超伝導性を示す.TMTSFは図のような構造をもつテトラメチルテトラセレナフルバレンである.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報