朝鮮産米増殖計画(読み)ちょうせんさんまいぞうしょくけいかく

改訂新版 世界大百科事典 「朝鮮産米増殖計画」の意味・わかりやすい解説

朝鮮産米増殖計画 (ちょうせんさんまいぞうしょくけいかく)

1918年の米騒動に示された日本の食糧問題の解決のため朝鮮の米穀生産力引上げを図って,朝鮮総督府が1920年から始めた土地・農事改良事業。当初計画は,30ヵ年で耕種改善と80万町歩の土地改良を行うこととし,まず最初の15ヵ年で2億4000万円弱を投じて約43万町歩の土地改良を行い,約900万石の産米増収を図ったものである。着手の1~2年後に早くも計画が破綻しはじめたので,26年に産米増殖更新計画として改訂され再出発した。更新計画は,期間12ヵ年で目標は当初計画とほぼ同じであったが,とくに巨額な低利資金の政府斡旋が見込まれ,事業代行機関として朝鮮土地改良株式会社,東洋拓殖株式会社土地改良部がつくられた。30年の昭和恐慌以降事業は停滞し,34年には事実上中止された。産米増殖計画の結果,産米増収は果たされたが対日移出用の米穀モノカルチャー化が進み,また大地主の土地集積が強まった。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「朝鮮産米増殖計画」の解説

朝鮮産米増殖計画
ちょうせんさんまいぞうしょくけいかく

朝鮮総督府の米増産政策。植民地を含めた米穀自給を目的に,輸入外米にかわって対日移出増をねらった計画。第1次計画は1910年代の耕種法改良を前提に,土地改良事業を軸に20年(大正9)開始,3・1独立運動後の文化政策一環でもあった。第2次計画は低利資金に裏づけられた大規模な計画で,26年(昭和元)開始。移出量の激増により国内に移入制限を求める世論も強く,34年中断。

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