内科学 第10版 「末梢神経系の構成・機能」の解説
末梢神経系の構成・機能(末梢神経の形態の機能)
中枢神経系と身体末梢部を連絡する投射伝導路は,機能的には,①興奮を中枢へと伝える一次性感覚ニューロン(primary sensory neuron),②興奮を末梢へ伝える二次性(下位)運動ニューロン(secondary(lower)motor neuron),③自律神経ニューロン(autonomic neuron)の3者によって構成される.このうち,中枢神経系内に存在する部分を除いた全体が末梢神経系である.運動神経線維は有髄線維であり,知覚神経線維は有髄線維と無髄線維とから成り立っている.交感神経では節前線維は有髄線維であり,節後線維は無髄線維である.
末梢神経系をマクロでみると,脳から出るⅢ~Ⅻの10対の脳神経(Ⅰ嗅神経とⅡ視神経は中枢神経系に属する),脊髄から出る31対の脊髄神経,および自律神経からなっていると表現できる.ヒトでは脊髄神経は8対の頸神経,12対の胸神経,5対の腰神経,5対の仙骨神経,および1対の尾骨神経からなる.脊髄神経では前・後根と後根神経節,神経叢から運動終板や感覚受容器に至る神経路が,脳神経では神経節を含めた脳幹外の部分全体が,自律神経系では脊髄・脳幹より末梢に位置する節前線維・自律神経節・およびすべての節後線維といった広い範囲の構造物が“末梢神経”に含まれる.末梢神経系の軸索は,根および末梢神経幹ではSchwann細胞によって,神経節内ではSchwann細胞のアナログであるサテライト細胞によって周囲を囲まれるという共通した特徴をもつ.希突起膠細胞(oligodendrocyte)によって軸索周囲を囲まれる中枢神経系とは際だった相違点である.[神田 隆]
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報