本主(読み)ほんしゅ

精選版 日本国語大辞典 「本主」の意味・読み・例文・類語

ほん‐しゅ【本主】

〘名〙 (「ほんじゅ」とも)
高野山文書‐正中二年(1325)正月日・蓮華乗院学侶訴状事書「而今地頭罪科之日、被付本主仏陁之条、理運也」
② 本来の所有主。法によった正式の所有主。現実に占有していなくても、形式的にはその所有者であるべき人。ほんしゅう。また、一般に、所有者。
令義解(718)捕亡「凡亡失家人。奴婢。雑畜。貨物。皆申官司案記。若獲物之日。券証分明。皆還本主
③ その人の本来つかえている主人。
※続日本紀‐和銅二年(709)一〇月丙申「由是多在彼、不本郷本主
④ (新しい所有者・知行者に対して)旧の所有者。もとの知行者。
御成敗式目(1232)七条「右大将家以後代々将軍并二位殿御時所充給所領等、依本主訴訟改補否事」
⑤ 事件の張本人
新編追加‐寛喜三年(1231)六月九日「断罪本主及得語人
⑥ 中心となるもの。主旨
日本開化小史(1877‐82)〈田口卯吉〉四「徒に帝王大臣が歌を詠み詩を吟ぜられたる事どもを記すを以て一篇の本主と為すが如きを」

ほん‐ぬし【本主】

〘名〙 本当の持主
※羅葡日辞書(1595)「アヅカリタル コトヲ fonnuxiye(ホンヌシエ) カエス

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デジタル大辞泉 「本主」の意味・読み・例文・類語

ほん‐しゅ【本主】

《「ほんじゅ」とも》
本所ほんじょ1」に同じ。
決断所にて―安堵を賜はれば」〈太平記一二
正式の所有者。
八幡大菩薩は日域朝廷の―」〈平家・七〉

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世界大百科事典(旧版)内の本主の言及

【闕所】より

…こうした御家人の要求は,その闕所地に対する特別の由緒を根拠とする場合がほとんどである。そのおもなものは,(1)その闕所地が自分の一族の跡地であるから,(2)被没収者の知行以前に自分もしくは祖先がその地の知行者(本主)であったから,の2点である。(1)の場合武士社会には一族地はあくまで一族が伝領すべきであって,他へ流出することを強く嫌悪する思想があり,なかには置文などでその旨を明記しているケースも少なくない。…

※「本主」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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