本郷村善九郎(読み)ほんごうむら・ぜんくろう

朝日日本歴史人物事典 「本郷村善九郎」の解説

本郷村善九郎

没年安永3.12.5(1775.1.6)
生年:宝暦7?(1757)
江戸中期の義民。飛騨(岐阜県)の幕府領吉城郡石神村和仁家に生まれ,本郷村の馬場家の婿養子となる。安永2(1773)年幕府の検地政策などに反対して起きた安永の大原騒動頭取で,一揆の最も若い指導者として,本郷村小割堤の寄合などで活躍。一揆鎮圧後,高山町桐生河原に獄門となる。処刑4日前に牢内から妻かよに宛てた遺書が残る。本郷村本覚寺には安永7年に建立された寒念仏供養塔があり,昭和初年田の中から発見された。また同寺に妻子と並んだ墓があり,神岡の両全寺にも俗名和仁善九郎と刻まれた墓がある。<参考文献>『図説大原騒動』

(小椋喜一郎)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「本郷村善九郎」の意味・わかりやすい解説

本郷村善九郎
ほんごうむらぜんくろう
(?―1774)

江戸中期の義民。飛騨(ひだ)国吉城(よしき)郡本郷村(現岐阜県高山市)の村役人。1773年(安永2)高山代官は、支配下の幕領に対し、検地増税をしようとした。これに反対した農民が、まず大垣藩、ついで江戸の老中越訴(おっそ)し、さらに国元で代官所に強訴した。善九郎はこの後半の強訴の指導者で、翌74年12月獄門となった。彼の獄中から妻にあてた達筆な遺書(県の文化財)が残っている。これが安永(あんえい)騒動であるが、代官大原彦四郎の名をとって大原騒動ともいう。

[横山十四男]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「本郷村善九郎」の解説

本郷村善九郎 ほんごうむら-ぜんくろう

1757-1775* 江戸時代中期の一揆(いっき)指導者。
宝暦7年生まれ。飛騨(ひだ)(岐阜県)吉城(よしき)郡本郷村の村役人。安永2年幕府の検地強行に反対しておきた農民一揆(大原騒動)を頭取として指導し,安永3年12月5日処刑された。18歳。獄中から妻かよにあてた遺書が子孫万葉(ばんば)(馬場)家にのこる。姓は馬場。本姓は石神。

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