頭取(読み)とうどり

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

頭取
とうどり

(1) 歌舞伎劇場の楽屋庶務を担当する役。昔は劇界故実を心得た古老の俳優がつとめ,楽屋入口近くの頭取部屋にいて事務をとった。おもな仕事としては,毎日の支払い経費の配分,代役の選定,諸掲示,紛争の処理,終演時に舞台へ出て「今日はこれぎり」という切口上 (きりこうじょう) を述べることなどであった。現在は名称だけ残り,舞台事務所に勤めて雑務をする係をさす場合がある。 (2) 雅楽では音頭のこと。 (3) 能では翁舞の小鼓のリーダーのこと。 (4) 銀行の長。

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デジタル大辞泉の解説

とう‐どり【頭取】

音頭を取る人。転じて、集団のかしら。頭領。
銀行などの首席の取締役。その代表者として業務執行に当たる。
雅楽で、合奏の際の各楽器の首席演奏者。特に、管楽器でいう。音頭(おんどう)。
歌舞伎で、「翁(おきな)」「三番叟(さんばそう)」を上演するとき、小鼓方三人のうち、中央に座る主奏者。
歌舞伎劇場で、楽屋のいっさいの取り締まりをする役。また、その人。古参役者から選ばれ、楽屋入り口の頭取座に詰めた。今は庶務係化している。楽屋頭取
相撲で、力士をまとめ、取り締まる人。

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世界大百科事典 第2版の解説

とうどり【頭取】

〈頭取〉の語は,雅楽の音頭(おんどう)(管楽器の主席奏者),能楽の頭取(《翁》の小鼓方の統率者)から転じて頭(かしら)に立つ人の意に用いられる。相撲で力士を統轄し興行に参加する者や,銀行,会社の代表取締役のこともいう。歌舞伎では劇場の楽屋内の職掌の一つ。一番太鼓のころに出勤し,楽屋入口に近い頭取座,着到板の前に控え,病気休演や舞台事故の処置,無用な者の楽屋立入りの監視,仕切場からの化粧料,日払い,焚捨の配分,終演時に観客に対し〈切口上〉を述べるまで,一切の楽屋進行や取締をする。

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大辞林 第三版の解説

とうどり【頭取】

が原義〕
頭だつ者。長たる人。
銀行などの代表者となり、その職務をなす者。代表取締役を兼ねているのが普通。
劇場などで、楽屋のすべての取り締まりに当たる者。
相撲で、力士を取り締まり、興行に参加する人。
音頭を取る人。
雅楽で、管楽器の首席奏者。
能楽または歌舞伎の「三番叟」で、小鼓を奏する三人の鼓方のうちの中央の奏者。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

頭取
とうどり

雅楽、能楽、歌舞伎(かぶき)の演奏に際し主奏者となる人、あるいは音頭(おんど)をとる人、音頭取をいう。転じて、江戸時代に至っては一般に頭(かしら)だつ人をいう。たとえば、火消し人足や鳶(とび)の者などの集団の長である人、首領、頭目をさす。このほかに、とくに楽屋頭取や相撲(すもう)の年寄をいう場合もある。前者は、歌舞伎劇場で楽屋いっさいの総取締り役をする名題(なだい)下の役者の呼称で、楽屋2階への階段の反対側に設けられた一段高い所にあった「頭取座」に控え、大切りには口上を述べるなど、中心的な働きをし、物わかりよく、顔の売れた古参の役者がこれを務めた。後者は、相撲興行にあたって、力士を統轄する者をいう。現在では、銀行や会社、組合などの取締役の首席で、その代表者となって業務執行の任にあたる者をいう。[棚橋正博]

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