李海朝(読み)りかいちょう(英語表記)(R)I Hae-jo

改訂新版 世界大百科事典 「李海朝」の意味・わかりやすい解説

李海朝 (りかいちょう)
(R)I Hae-jo
生没年:1869-1927

開化期朝鮮新小説作家。京畿道抱川出身。号は東濃,悦斎。ほぼ生涯を通じて創作に従事し,《自由鐘》(1910)など啓蒙的意識が濃厚な作品約30編を残す。《自由鐘》は登場人物がすべて女性で,女性の覚醒人権自主独立教育など開化期の諸問題を討論形式により展開する異色作。また《花の血》の序文跋文には写実的描写フィクションへの言及があり,はじめての小説論として注目される。
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百科事典マイペディア 「李海朝」の意味・わかりやすい解説

李海朝【りかいちょう】

朝鮮の小説家。京畿道抱川生れ。号は東濃,悦斎。自主独立・近代的教育の必要性を説く〈新小説〉の代表的存在で,代表作は《自由鐘》(1910年)。

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世界大百科事典(旧版)内の李海朝の言及

【朝鮮文学】より

…20世紀初頭の開化期にあっては〈唱歌〉〈新体詩〉〈新小説〉が一世を風靡した。新小説とは,自主独立・近代的教育の必要性を説いた李人稙の《血の涙》(1906),因習打破・婦権拡張を説いた李海朝の《自由鐘》(1910)などをはじめ,社会的問題をテーマにして1916年ころまで書かれた一群の小説をさし,思想面でも文体面でも未熟ではあったが,4・4調や4・3調等で新しい社会事象をうたった唱歌,旧来の定形詩の枠を打ち破った新体詩と並んで,朝鮮に近代文学の萌芽をもたらしたものといえる。次に登場するのが李光洙崔南善(さいなんぜん)である。…

※「李海朝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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